2008 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞悪性リンパ腫に対するガンワクチンを併用した同種造血幹細胞移植療法の研究
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19591121
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤原 弘 Ehime University, 医学部附属病院, 講師 (20398291)
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Keywords | 腫瘍免疫 / 造血器悪性腫瘍 / T細胞悪性リンパ / 成人T細胞白血病(ATL) / 細胞障害性Tリンパ球(CTL) / 癌ワクチン / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
当該研究期間に研究者は以下のことを明らかにした。 1)成人T細胞白血病を含む抗がん剤治療抵抗性T細胞性悪性リンパ腫に対して、骨髄非破壊的前処置での同種造血幹細胞移植療法を、同種免疫を標的とした抗種瘍免疫力の増強を目的としてHLA不適合血縁ドナーの移植を行い、生存期間の延長が得られる可能性を示し、その抗リンパ腫効果が腫瘍性CD8リンパ球に依存することを示した。 2)ATLの発症原因であるHTLV-1ウイルス関連抗原であるTaxタンパクに対する自己CTLが、感染期間の長いHTLV-1キャリアやATLを発症した患者では、CTL抑制分子PD-1を発現し、抗HTLV-1活性が傷害されていた、同様の傾向は、同種移植後に新たに誘導された抗TaxCTLでも認められ、抗ATL活性に寄与しないことを示した。 3)ATL腫瘍抗原候補として、ATL発症原因として、近年注目されているHTLV-1関連HBZタンパクの有用性を検討した。HTLV-1ウイルス感染細胞やATL細胞のHBZは、その豊富な,mRNAと乖離して蛋白発現量は著しく低く、HBZ特異CTLの免疫監視から免れていた。ATL患者やHTLV-1キャリア体内にもHBZ特異的CTLは検出されず、HTLV-1ウイルスの新たな宿主免疫回避機構の存在する可能性を明らかにした。 4)Tリンパ性悪リンパ腫を含む広範な造血器悪性腫瘍に対する癌ワクチン候補となる関連抗原を検索し、新たにAurora AkinaseとCML66由来の抗原エピトープを同定し、抗白血病ワクチンとなる可能性を示した。 これらの研究結果は、T細胞性リンパ腫はCTLを主とした細胞性免疫を強化することで病勢を制御できる可能性があること、抗腫瘍性CTL効果を高めるには、CTL機能低下機序を改善すること、またより有望な腫瘍抗原を新たに検索することで解決できる可能性があることを示した。
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Research Products
(20 results)