2007 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-I感染によるM期チェックポイント異常とATL治療への応用
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19591122
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
富田 真理子 University of the Ryukyus, 大学院・医学研究科, 助教 (80381250)
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Keywords | HTLV-I / ATL / CHFR / Aurora / NF-χB / メチル化 |
Research Abstract |
細胞分裂期(M期)チェックポイントは染色体の異数体化を防ぐセンサーの役割を果たしている。M期チェックポイント遺伝子の異常は染色体不安定性もたらすため、細胞の癌化において重要な変化と考えられている。本研究では、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HLTV-I)感染細胞におけるM期チェックポイント異常の分子機構を解明し、成人T細胞白血病(ATL)の治療効果を予測するマーカーとなりうるか明らかにすることを目的とし、本年度は、HTLV-1感染T細胞におけるCHFR発現抑制が細胞増殖に及ぼす影響とその分子機構を解析した。 1)HTLV-I感染細胞におけるCHFR発現解析:HTLV-I感染T細胞株では非感染T細胞株に比べCHFR mRNA発現が著明に抑制されていた。ATL細胞でも、健常人末梢血単核球に比べCHFR発現の減弱が認められた。CHFR発現抑制とTax発現との相関は認められなかった。 2)CHFR遺伝子プロモーター領域の異常メチル化のCHFR発現抑制への関与:当初の計画と異なりCHFR発現とTax発現との関連が認められなかったため、CHFR遺伝子プロモーター領域の異常メチル化のCHFR発現抑制への関与を検討した。COBRA法およびBisulfite-Sequence法による解析の結果、HTLV-I感染T細胞株およびATL細胞ではCHFR遣伝子プロモーター領域の異常メチル化を認め、これらの細胞でのCHFR発現は脱メチル化剤5-aza-2'-deoxycytidineの添加により回復した。 3)CHFR発現抑制がHTLV-I感染細胞の生存・増殖に及ぼす影響とその分子機構の解析:CHFR発現抑制を認めるHTLV-I感染細胞株HUT-102にCHFR発現プラスミドを導入して、CHFR発現を回復させるとNF-kB活性が阻害され細胞増殖の抑制が認められた。 以上の結果より、HTLV-I感染T細胞株やATL細胞においてM期チェックポイント遺伝子CHFRの異常メチル化による発現抑制はNF-xBシグナル伝達経路を活性化させ細胞の増殖に関与していることが示唆された。本研究成果をもとに、次年度はCHFR発現抑制による細胞増殖促進の分子機構をCHFRのユビキチン化標的蛋白質であるAurora Aに焦点を当てて解析し、Aurora Aを標的とした新規治療法開発の基礎的検討を行なう。
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Research Products
(19 results)