2008 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt・Rhoシグナルを分子標的とした骨髄腫の間質細胞接着依存性抗癌剤耐性の克服
Project/Area Number |
19591124
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小船 雅義 Sapporo Medical University, 医学部, 講師 (90336389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
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Keywords | 骨髄腫 / Wnt / Rhoシグナル / 骨髄間質細胞 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫細胞は骨髄から完全に排除することが困難で、治癒を得ることは難しい。その理由として、骨髄stroma細胞と腫瘍細胞の相互作用によって惹起されるCell adhesion mediated drug resistance,CAM-DR)という薬剤耐性機構が想定されている。申請者は昨年度までに、骨髄腫細胞株においては、Wnt-RhoA-ROCKシグナル伝達系を介して、ストローマ細胞への接着性と薬剤耐性が増強されることを見出した。今年度は、Fasudilなどヒトに投与可能なROCK inhibitorや、抗integrinペプチドを用いたin vitroの検討を行うと共にin vivoの骨髄腫動物実験モデルの確立を試みた。その結果、Fasudilの活性型:OH-Fasudil10μMを作用させることで、doxorubicinおよびmelpharanに対するCAM-DRはほぼ完全に解除されることが明らかとなった。また、抗integrin α4,5,6および抗integrin β1抗体を作用させても、骨髄stroma細胞とWnt3高発現細胞株であるKMS5およびARH77との接着性に変化を認めなかった。ところが、抗RGDペプチドであるGRGDSあるいはcRGDfVで約50%の骨髄腫細胞がストローマ細胞との接着性を失い、さらに、GRGDSとcRGDfVをコンビネーションで用いると、約90%の骨髄腫細胞がストローマ細胞から乖離することが明らかとなった。さらに、GRGDSあるいはcRGDfVペプチド存在下でdoxorubicinに対するCAM-DRをMTTアッセイで解析した結果、著名に薬剤耐性が解除されることが明らかとなった。In vivoでの検討を行う目的で、KMS5細胞をGFP発現レトロウイルスベクターを用いてラベルし、尾静脈から静注投与したところ、骨髄、卵巣および肝に腫瘍浸潤を形成するモデルが確立できた。
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