2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591130
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松本 雅則 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (60316081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 吉博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80118033)
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Keywords | TMA / VOD / 造血幹細胞移植 / VOD |
Research Abstract |
奈良医大輸血部は、TMA(血栓性微小血管障害症)センターとして、全国の医療機関からTMA解析依頼を受け付け、ADAMTS13を中心に解析を行ってきた。平成19年12月末でTMA解析症例数は860例となったが、そのうち造血幹細胞移植(SCT)に合併したTMAは54例あった。その結果、SCT-TMA症例ではADAMTS13活性は著減していないことが明らかとなった。そこで、SCT-TMAとその類縁疾患であるVODについて病態を明らかにするため、ADAMTS13活性以外にVWF抗原、VWFマルチマー解析を行った。 同種SCT後のVODハイリスク症例において、FFP投与群と非投与群に分けて、VODの発症を多施設で検討した。VODは、FFP投与群20例から1例も発症せず、非投与群23例中から3例発症した。症例数が少ないため統計学的有意差は認めなかったが、臨床的には明らかにFFPによるVODの発症予防効果が認められた。VWF抗原は、すべての症例で上昇していた。VWFマルチマー解析の結果、VOD発症症例では移植後早期に高分子量のVWFの欠損が認められた。VOD非発症例でも、FFP非投与群では高分子量マルチマーの欠損が認められたが、FFPを投与群ではそのような欠損は認められなかった。現在SCT-TMA症例におけるマルチマー解析を行っている。 SCT後のTMA/VODの発症要因として、血管内皮細胞障害が重要であると考えられている。その関連を明らかにするために、HUVECを培養し、それに様々な刺激・障害を加えて、培養上清中のVWFやADAMTS13を解析する予定である。そのために、HUVEC の培養を開始し、安定した培養条件を検討している。その後、HUVEC培養上清にシクロスポリンやタクロリムスを加えて、細胞への影響を観察する予定である。
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