2009 Fiscal Year Annual Research Report
12p13転座型白血病の原因遺伝子TELの発生工学的機能解析
Project/Area Number |
19591135
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
江口 峰斉 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 講師 (50420782)
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Keywords | TEL / ETV6 / ES細胞 / 造血細胞分化 |
Research Abstract |
Chicken β-actin (CAG) promoter下にTEL遺伝子を発現するマウスES細胞を作製し、造血細胞へ分化させる実験系を用いて、TEL遺伝子の造血分化における役割に関して検討した。EGFPをTELのN末に融合させた発現ベクターを用いて、TELを過剰発現する細胞をFACS等にて識別可能とした。またコントロールとしては、EGFPのみを発現するES細胞を用いた。RNAを用いた定量PCRによる検討では、造血細胞への分化開始6、7日後の段階でTELの発現量はコントロールES細胞の5~10倍程度に増加していた。TELを過剰発現するES細胞は、コロニーアッセイにてコントロールと同じ程度の造血コロニーを形成し、TELの過剰発現により造血細胞の産生自体は影響されないと考えられた。FACS解析により、造血分化開始6、7日後のembryoid bodyを詳細に解析すると、TELを過剰発現するES細胞では、EGFP発現ES細胞と比較して、CD31^+/c-kit^<high>の細胞群が減少し、c-kitの発現が低いCD31^+/c-kit^<low>の細胞群が相対的に増加していた。また高い造血細胞コロニー形成能を有するTie2^+/c-kit^<high>の細胞群にも軽度ながら減少傾向を認め、その前段階と思われるTie2^+/c-kit^<low>の細胞群がやや増加していた。この細胞群はAmllやScl、Gata2などの造血細胞特異的な転写因子を発現しているが、Tie2^+/c-kit^<high>の細胞群と比較して細胞周期制御因子であるCDKNIC(p57KIP2)の発現が高く、そのコロニー形成能はより低かった。これらの結果から、マウスES細胞の血液分化系において、TELは細胞の未分化性を維持する働きを有する可能性が示唆された。
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