2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞亜急性期造血サイトカイン投与による脳組織再生法の開拓
Project/Area Number |
19591138
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
川田 浩志 Tokai University, 医学部, 准教授 (20276801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 潔 東海大学, 医学部, 教授 (70176014)
瀧澤 俊也 東海大学, 医学部, 教授 (70197234)
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Keywords | 脳梗塞 / 亜急性期 / 造血サイトカイン / 脳組織再生 |
Research Abstract |
目的:すでに臨床の現場において、血液疾患患者や透析患者に広く投与されている造血サイトカインである穎粒球コロニ-刺激因子(G-CSF)とエリスロポイエチンの両者に対するレセプダーが血液細胞のみならず神経細胞にも存在していて、これらのサイトカインが神経細胞の増殖促進作用や保護作用を示すことが明らかとなり注目されている。そこで本研究では、脳梗塞に対する造血サイトカイン療法の可能性を、マウス脳梗塞モデルを用いて探った。 方法:骨髄由来細胞を識別する目的で、まずGFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞を致死量放射線照射後のC57BL/6マウスへ移植した。骨髄の生着が確認された時点で、レシピエントマウスの左中大脳動脈の血流を遮断させて脳梗塞を作成し、その10日後より10日間、G-CSFとエリスロポイエチンの投与を行った。そして、1ケ月後に脳機能の評価を行い、脳を摘出して免疫組織学的に脳再生効果について検討を行った。 結果:脳梗塞亜急性期におけるG-CSFの投与は、運動機能のみならず高次脳機能をも改善させた。エリスロポイエチンは高次脳機能の改善に対してより有効であったが、G-CSFとの併用が最も効果的であった。G-CSF投与群ならびにエリスロポイエチン投与群の両者で骨髄由来神経細胞が梗塞周辺領域に認められた。 考察:G-CSFとエリスロポイエチンの両者は、内在性の神経幹細胞/前駆細胞の増殖を刺激するとともに、骨髄由来の神経細胞の脳組織への移行を促進して、脳梗塞後の脳機能を改善させることが示唆された。以上の結果をもとに、平成20年度では、造血サイトカインによる脳梗塞後神経組織再生の至適条件の決定を行うとともに、神経組織再生を担っている骨髄由来細胞の細胞起源の同定を目指す。
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Research Products
(4 results)