2008 Fiscal Year Annual Research Report
PU.1、C/EBPαおよびεによる骨髄・単球系への分化誘導メカニズムの解析
Project/Area Number |
19591139
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松下 弘道 Tokai University, 医学部, 講師 (50286481)
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Keywords | 骨髄性白血病 / C / EBP / レチノイン酸 / 分化 / 増殖 / MLL遺伝子 / Myc / FLT3-ITD |
Research Abstract |
本研究は、造血幹細胞および急性骨髄性白血病細胞(AML)の骨髄・単球系への分化機構を詳細に解明することを目的としている。本年度は、特に骨髄系転写因子C/EBPsのMLL遺伝子異常を有する骨髄単球性白血病における分化への関与に着目して行った。 MLL遺伝子異常を有する種々のマウスおよびヒト骨髄性白血病細胞株において、レチノイン酸によりC/EBPαおよびC/EBPεの発現誘導が誘導されること、その際に細胞増殖抑制および単球系分化を伴うことが確認された。 C/EBPαおよびC/EBPεの強制発現により、MLL遺伝子異常を有するマウス骨髄性白血病細胞株HF-6は単球系に分化誘導されると同時に、がん遺伝子mycの発現が抑制された。HF-6細胞にmycの強制発現後に、C/EBPαおよびC/EBPεを発現誘導したところ、C/EBPsによる分化誘導および増殖抑制が部分的ながら阻害されたことから、C/EBPsの作用の一部にmycの抑制を介することが明らかとなった。一方、AMLの30%に認められ、増殖を誘導するclassI異常の1つであるFLT3-ITDを、HF-6細胞に導入後にC/EBPαおよびC/EBPεを発現誘導したところ、分化や細胞増殖への影響は全く認められなかった。 これらの結果は、予後不良因子とされるFLT3-ITDを有する症例を含めMLL遺伝子異常を有するAMLにおいて、レチノイン酸投与や、C/EBPαまたはC/EBPεの誘導が増殖抑制/分化誘導を介して白血病細胞に対し抑制的に作用する可能性を示唆するものである。今後のAMLに対する分子療法の基礎的知見として重要であると考えられた。
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Research Products
(12 results)