2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織幹細胞間の比較による幹細胞共通分子の探索と血液学的機能解析
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19591148
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
浜口 功 National Institute of Infectious Diseases, 国立感染症研究所血液・安全性研究部, 部長 (90348780)
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Keywords | 生殖幹細胞 / 造血幹細胞 / トランスジェニックマウス / 未分化性維持 |
Research Abstract |
平成19年に引き続き生殖幹細胞に特異的に発現する分子の中で、造血幹細胞に発現する遺伝子を新たに単離した。HE4(Homo sapiens epididymis-specific)はマウス造血幹細胞(CD34陰性KSL細胞)に特異的に発現しており、発現量はβ-actinとの発現量の0.01倍であり、Tall(造血幹細胞特異的転写因子)の1000倍の発現量であった。またヒトCD34陽性CD38陰性分画でも特異的に発現しており、β-actinとの発現量の0.003倍であった。これまでにHE4にWAP(whey scidic protein)domainが含まれており、他の類似分子の機能から、プロテインインヒビターであることが想定されるが、幹細胞特異的分子としての機能に関与していることも想定される。まず、HE-4のゲノムDNAを単離し、HE4のプロモーター領域(5kb)にEGFP遺伝子をつないだコンストラクトを作製し、トランスジェニックフウスの作出を試みている。これまで造血幹細胞は複数の抗原分子の組み合わせにより純化されているが、本研究により、HE4分子が造血幹細胞に特異的に高発現しており、トランスジェニックマウスにおいて造血幹細胞をマーキングでき、造血幹細胞の未分化性維持のメカニズム解明にも大いに役立つものと考えられる。また特定したHE4プロモーター領域が造血幹細胞特異的であることが明らかにされれば、造血幹細胞特異的な遺伝子発現調節が可能となることが想定される。
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