2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍におけるp57KIP2遺伝子を中心とした発癌ネットワークの解析
Project/Area Number |
19591150
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Research Institution | Clinical research Center, Nagoya National Hospital. |
Principal Investigator |
永井 宏和 Clinical research Center, Nagoya National Hospital., 血液・腫瘍研究部, 部長 (30360811)
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Keywords | p57KIP遺伝子 / 悪性リンパ腫 / 癌抑制遺伝子 / 微少残存病変 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
我々はCDKIの一種であるp57KIP2遺伝子がDNAメチル化によりリンパ系腫瘍において高頻度に不活化されていることを発見し、当遺伝子の候補癌抑制遺伝子としての可能性と病態への関与を明らかにした。本研究の当該年度にはp57KIP2遺伝子と悪性リンパ腫の病態の関連を検討した。65例のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)の病変検体のp57KIP2遺伝子DNAメチル化をmethylation specific real time quantitative PCR(MS-RQ-PCR)に検討した。65例中53例(82%)にメチル化を認めた。メチル化の有無とDLBCLの病変の広がり、臨床的予後予測因子との相関は認められなかった。しかし、80%を越える頻度でp57KIP2遺伝子DNAメチル化が認められたことから、当遺伝子のメチル化がDLBCLのバイオマーカーとして有用であると考えられた。DLBCLにおいては最も頻度が高い遺伝子変異である事が示された。そのため、微少残存病変(MRD)の検出においてp57KIP2遺伝子DNAメチル化を用いることを検討した。p57KIP2遺伝子のMS-RQ-PCR法によるMRDの検出感度は10^<-4>であり、従来の分子生物学的手法での検出感度と同等であった。また、従来法と比べ簡便であり、広く応用が可能であることが示唆された。当手法によりMRD検出が系統的に行われるようになれば、DLBCLの治療選択や治療効果判定において重要な知見を与えるものと考えられる。
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