2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591172
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千住 覚 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50274709)
|
Keywords | ES細胞 / 樹状細胞 / 免疫制御 / MHC / T細胞 / 悪性腫瘍 / 抗原提示 / 遺伝子標的破壊 |
Research Abstract |
本研究では、ES細胞由来の樹状細胞(ES-DC)を用いた細胞ワクチン技術の開発を行っている。ES細胞に由来する細胞を用いた医療において問題となる、 HLAミスマッチを解決すべく研究を行った。未分化なマウスES細胞に遺伝的改変を行い、β2-microglobulin(β2m)遺伝子、あるいはTAP1遺伝子の標的破壊を行ったものに、さらに、高濃度薬剤選択により、これらの遺伝子をホモ接合として欠損したマウスES細胞を作製した。そして、これらのES細胞に由来するES-DCの機能解析を行った。 遺伝的改変により、発現するMHCクラスI分子を以下のような2つの方法により置換したES-DCの細胞ワクチンとしての効果を、マウス体内における抗原特異的な細胞傷害性T細胞誘導活性により、検討した。 β2-microglobulin(β2m)遺伝子の標的破壊 β2mは、クラスI分子重鎖と会合している分子であり、この遺伝子を破壊すると全てのMHCクラスIの細胞表面への発現が消失する。ここで用いているES細胞(J1株)は、本来H-2bのMHCタイプなので、これに、β2mをMHCクラスI(H-2Kd)分子と共有結合したものを発現するベクターを導入した。 TAP1遺伝子の標的破壊ES細胞を用いる研究 本来H-2bのMHCタイプを有するES細胞(E14)において、 TAP1遺伝子を欠損させ、遺伝子導入によりH-2Kd分子を発現させ、これを樹状細胞(ES-DC)へと分化誘導した。 以上のようなES-DCに、 H-2Kd分子と結合親和性を有するRSV (Respiratory Syncytial Virus)由来のエピトープ(合成ペプチド)を細胞外から加えることにより、 H-2Kd分子上にRSVエピトープを提示するES-DCを作製し、これをBALB/cマウス(H-2d)に投与し、 RSV抗原特異的な細胞傷害性T細胞誘導活性を検討した。さらに、このようなES-DCを用いて細胞ワクチンを行った後、RSV抗原を人為的に発現させた腫瘍細胞を移植し、この腫瘍細胞に対する拒絶効果も検討し、上記の手法の有用性を確認した。
|