2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規関節リウマチモデルマウスを用いた病態進行のメカニズム解明と治療法の検討
Project/Area Number |
19591173
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
金澤 智 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (90347401)
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Keywords | リウマチ学 / 関節リウマチ / モデルマウス / 治療薬 |
Research Abstract |
関節リウマチ(RA)は、本格的な高齢化社会へと向かう我が国において、保健衛生上の重点課題の一つである。RAの発症には、遺伝的背景、感染病原体、環境要因の3者が深く関わっていると考えられる。しかしRAそのものを引き起こす病原体あるいは環境要因に関しては、いまだその実体は明らかとなっていない。一方遺伝的背景および分子レベルでの病態に関する知見、特にMHCクラスIIの発現制御機構に関する研究は、本研究を推進することができる状態にあった。そこでMHCクラスIIを関節軟骨部で特異的に発現させることで、RA疾患に近い疾病状態を誘発するモデルマウス(D1CCマウス、Proc. Nat1. Acad. Sci. U.S.A., 103:14465-70(2006))を樹立した。D1CCマウスにおけるRA発症は慢性かつ進行性で、末期においては著明な関節破壊も引き起こした。病理組織学的にもRAに酷似し、関節外病変も観察された。この為炎症過程と骨破壊の過程を分け、炎症から骨破壊への移行時の関節局所における変動要因の解析が可能となるなど多くの利点を持つ。これまでの研究では、ヘテロ型D1CCマウスを用い関節炎誘導を行っていた。しかし系統維持の容易さおよび遺伝子の重複度による悪性化の検討の必要性から、マウスのホモ化を試みた。Real-time PCR法を用いる事でホモとヘテロマウスを簡便かつ確実に同定する事ができ、ホモマウスを用いた系統維持が可能となった。次にD1CCマウスに抗リウマチ薬(推奨度A)を投与し、関節炎の抑制効果について検討した。抗リウマチ薬の投与量は、ヒト体重辺りに使用される標準的な投与量を基準とした。抗リウマチ薬の投与により関節部における炎症は抑制された(論文準備中)。加えて関節外病変として生じる間質性肺炎を組織学的に捉える事にも成功した(論文準備中)。
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