2007 Fiscal Year Annual Research Report
呼気凝縮液を用いた気道炎症モニタリングによる難治性喘息の病態解明
Project/Area Number |
19591175
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
松永 和人 Wakayama Medical University, 内科学第三講座, 講師 (20347602)
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Keywords | 気管支喘息 / 呼気凝縮液 / 気道炎症 / ステロイド / サイトカイン / ケモカイン / 成長因子 / 難治性喘息 |
Research Abstract |
喘息の気道炎症には種々の炎症物質が関与するが、これらの分子の発現やステロイド反応性に関して、吸入ステロイドで管理可能な喘息と難治性喘息との間にどのような差異があるか不明な点が多い。さらに気道過敏性や気流制限などの喘息病態において重要な役割を果たす分子も明らかにされていない。 非侵襲的な呼気凝縮液検査は難治性喘息の病態解明に適している。しかし新しい気道炎症評価法であるため、妥当性の検証として呼気凝縮液分析における唾液混入の影響について検討した。呼気凝縮液および唾液に含まれる炎症物質の発現プロファイルは全く異なっており、蛋白濃度による補正後では、全ての炎症物質発現が唾液と比べ呼気凝縮液中で増加していた。この結果から唾液由来成分が呼気凝縮液分析に及ぼす影響は極めて小さいことが明らかとなった。成果はAnalytical chemistry insights誌に報告した。 さらに吸入ステロイド療法前後に呼気凝縮液を採取して炎症物質の測定を行い、ステロイド治療による呼気凝縮液中の炎症物質発現の変化について検討するとともに、閉塞性障害や気道過敏性の改善程度との関連について検討した。喘息患者の呼気凝縮液中の炎症物質の中で、IL-4、RANTES、MIP-1α、MIP-1β、IL-8およびIL-17はステロイド治療により発現が抑制されたが、TNF-α、IP-10およびTGF-βは治療に対し抵抗性を示した。治療によるIL-4、RANTES発現レベルの変化と気流制限および気道反応性の変化との間に相関が認められ、逆に呼気凝縮液中のIP-10発現レベルが高い症例はステロイドによる気流制限の改善が不良であることが示された。呼気凝縮液分析が喘息の治療効果のモニタリングやステロイド抵抗性喘息(難治性喘息)の予測に応用できる可能性があり、現在検討を進めている。
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