2009 Fiscal Year Annual Research Report
呼気凝縮液を用いた気道炎症モニタリングによる難治性喘息の病態解明
Project/Area Number |
19591175
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
松永 和人 Wakayama Medical University, 医学部, 講師 (20347602)
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Keywords | 気管支喘息 / 呼気凝縮液 / 気道炎症 / ステロイド / サイトカイン / ケモカイン / 成長因子 / 難治性喘息 |
Research Abstract |
気管支喘息の気道炎症と関連する種々の炎症物質を呼気凝縮液にて分析し、気流制限、気道過敏性、ステロイド治療に対する反応性などに重要な役割を果たす分子を明らかにすることは、難治性喘息の病態解明や治療法開発に大きく寄与することが期待される。 アレルギー性鼻炎は喘息と高率に合併し、喘息の難治化因子として重要である。これまで鼻炎合併喘息においてロイコトリエン拮抗薬(LTRA)が有用であることは報告されていたが、作用メカニズムは不明であった。鼻炎合併喘息ではLTRA投与により呼気凝縮液中のRANTES発現が有意に抑制され、RANTES発現の抑制程度と気流制限およびピークフロー変動率の改善との間には相関が認められることを見出した。鼻炎合併喘息に対するLTRAの作用メカニズムの一端を解明した初めての研究であり、成果はAllergology International誌に報告した。 さらに吸入ステロイド療法の導入前後で呼気凝縮液中の炎症物質測定と肺機能検査、気道過敏性検査を行い、呼気凝縮液中の炎症物質発現と閉塞性障害や気道過敏性の改善との関連について検討した。治療による一秒量の改善程度は、治療前の呼気凝縮液中IL-4およびRANTES発現レベルと正の相関を、IP-10発現レベルとは負の相関を示した。IP-10はステロイド治療に抵抗性を示す気流制限に重要な役割を果たす分子と考えられる。呼気凝縮液分析がステロイド反応性の予測やステロイド抵抗性(難治性喘息)の検知に臨床応用可能であることが明らかにされた初めての研究であり、成果はRespiration誌に報告した。
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Research Products
(11 results)