Research Abstract |
1.抗CADM-140抗体の対応抗原の追究 皮膚筋炎(DM)のサブタイプであるClinically amyopathic DM(C-ADM)患者血清中に見出された抗CADM-140抗体の対応抗原の同定する目的で,大腸菌発現λZAPファージを用いて作製したHeLa細胞cDNAライブラリーを用いた抗原蛋白クローニングをおこなった.その結果,9つのペプチドが対応抗原の候補としてあがった.そこで,候補ペプチドとC-ADMを含む膠原病患者および健常人血清との反応性の検討をしたところ,クローン#8は,抗CADM-140抗体陽性血清10例中9例と高頻度に反応した.さらに,In vitro transcription/translation assayを用いて,蛋白を精製し,その蛋白を抗原として,免疫沈降法でC-ADM患者血清と反応を検討したところ,クローン#8は,抗CADM-140抗体陽性血清全例で反応したが,抗CADM-140抗体陽性C-ADM血清以外の膠原病および健常人血清とは反応しなかった.クローン#8の塩基配列を決定し,ホモロジーサーチをおこなったところ,MDA5(Melanoma Differentiation Associated Gene5 )のC末端部分の配列と完全に一致した。さらに,MDA5のリコンビナント蛋白を抗原とした免疫ブロット法での検討で,抗CADM-140抗体陽性患者血清はMDA5と反応したが,他の膠原病および健常人では反応しなかった.以上の結果から,抗CADM-140抗体の対応抗原がMDA5であることが明らかとなった. 2.抗CADM-140抗体測定Enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)の確立 バキュロウィルス発現リコンビナントMDA5を抗原とし,簡便・迅速な測定な可能なELISAを確立した.抗CADM-140抗体陽性DM患者血清は,陰性DM患者,他の膠原病患者および健常人と比較してより大きな反応性を示した.健常人血清の平均値+標準偏差の10倍を正常のカットオフ値とするとanalytical sensitivity88%,analytical specificity100%であった. 3,抗CADM-140抗体測定の臨床的意義 今回確立したELISAにおいても抗CADM-140抗体陽性例は陰性例と比較して,急速進行性間質性肺炎併発が有意に高頻度であり(82%対3%;P<0.0001),これまでの検討と同様の結果であった.すなわち,抗CADM-140抗体測定は,DMの重要な予後規定因子である急速進行性間質性肺炎併発予測という観点からその有用性が十分期待できると考えられた.
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