2008 Fiscal Year Annual Research Report
臨床材料から分離される各種βーラクタマーゼ産生菌に関する包括的研究
Project/Area Number |
19591185
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石井 良和 Toho University, 医学部, 助教 (90246695)
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Keywords | 薬剤耐性菌 / β-ラクタマーゼ / 多剤耐性 / 薬剤感受性サーベイランス |
Research Abstract |
平成20年度は緑膿菌の多剤耐性化と密接に関連しているメタロβラクタマーゼをコードする遺伝子の周辺構造の網羅的解析に着手した。既に小さいサイズのインテグロン構造の解析は終了した。その結果、本邦におけるインテグロン構造は10種類程度に大別され、その中にメタロβラクタマーゼとアミノ配糖体系薬修飾酵素をコードする遺伝子の両方が存在するものが多かった。このことから、メタロβラクタマーゼ産生菌にはβラクタム系のみならず、アミノ配糖体系薬の一部も無効である菌が少なくないことが明らかとなった。すなわち、メタロβラクタマーゼ産生の有無を確認することは、βラクタム系薬およびアミノ配糖体系薬の有効性を判断する上で極めて重要であることが判明した。 これまで大量取得が困難であったOXA-23およびOXA-40の大量取得に成功した。また、これまで酵素学的パラメータに関する情報があまりなかった、OXA-51およびOXA-58の大量取得に関しても成功した。今回得られたOXA-型βラクタマーゼの純度はきわめて高く、詳細な反応機構解明やX-線結晶解析、迅速検出法を確立するために利用できると考えている。 染色体上にCMY-2を産生するインドール陰性プロテウス属菌を検出した。インドール陰性プロテウス属菌は染色体上にCMY-2をコードする遺伝子を保有していない。しかし、この菌株は染色体上にCMY-2をコードする遺伝子保有株であり、その遺伝子周辺構造の解析に着手した。その結果、CMY-2をコードする遺伝子はコンジュガティブトランスポゾンによって転移している可能性が示唆された。
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