2009 Fiscal Year Annual Research Report
臨床材料から分離される各種β-ラクタマーゼ産生菌に関する包括的研究
Project/Area Number |
19591185
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石井 良和 Toho University, 医学部, 助教 (90246695)
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Keywords | 薬剤耐性菌 / β-ラクラマーゼ / 多剤耐性 / 薬剤感受性サーベイランス |
Research Abstract |
本年度は、Proteus mirabilisが保有するクラスCに属するβラクタマーゼ(ampC)をコードする遺伝子の存在場所と周辺環境を検討し、耐性因子拡散メカニズムの解明を目的として研究を行った。その結果、対象菌株のampCは染色体上に存在することが明らかとなった。さらに、本菌株のampCは染色体上に存在するにも関わらず接合伝達により他の菌株に伝達された。宿主域はProteusや大腸菌、Salmonellaを含む腸内細菌科に属する菌種に及ぶことが明らかとなった。周辺構造の検討から、本ampCの直前にISEcp1が存在し、ampCはこの挿入配列からプロモータが供給されるとともに、ISEcp1がampCの拡散に寄与した可能性が示唆された。また、接合伝達の結果180Kbの遺伝子が移動しており、その解析結果から、この可動性遺伝子領域はいわゆるconjugative transposonに必須の遺伝子を全て含むことが明らかとなった。さらに、conjugative transposonが接合伝達を行う際に形成される中間環状体も確認された。以上の結果から、これまで知られていなかった染色体上に存在する耐性遺伝子の伝達にconjugative transposonが関与していることが明らかとなった。(投稿中) 緑膿菌の多剤耐性化と深く関わると考えられているインテグロン構造の解析を実施した。インテグロン構造は各種βラクタマーゼおよびアミノ配糖体修飾酵素、サルファ剤耐性、トリメトプリム耐性、消毒剤耐性遺伝子などが集まっている遺伝子構造である。この遺伝子構造を解析することにより、本邦で分離される多剤耐性緑膿菌に有効な抗菌薬の選択が効率的に行えると考えている。日本で分離される多剤耐性緑膿菌の多くはクラス1に属するインテグロンを保有しており、そのほとんどがblaIMP-1、アミノ配糖体系薬アセチル化あるいはアデニリル化酵素をコードする遺伝子を保有していた。また、主要なインテグロン構造は11種類であることが明らかとなった。(投稿準備中)
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Research Products
(8 results)