2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染症におけるスタチン系薬の宿主応答作用と抗ウイルス作用の解明
Project/Area Number |
19591187
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高橋 孝 Kanazawa Medical University, 医学部, 准教授 (00292855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 享勉 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40261838)
岩井 邦充 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40243274)
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Keywords | ウイルス感染症 / スタチン / 宿主応答 / 抗ウイルス作用 |
Research Abstract |
ウイルス感染症に対する早急な対策が求められている昨今、本研究成果として、以下の新たな所見が得られた。 1、ウイルス性心筋炎モデルにおけるスタチン系薬の生存効果:脳心筋炎ウイルスによる心筋炎を呈した肥満症マウスでは、プラセボ群と比較してsimvastatin投与群でその生存率が良好であった。その投与開始時期と至適用量はウイルス接種の4日前と0.5mg/kg/日であった。一方、対照マウスのウイルス性心筋炎ではスタチンによる生存率の改善が認められなかった。この結果から、スタチンの薬物効果は肥満症(高脂血症・耐糖能異常)の病態でウイルス感染の前投与で発揮される可能性が示唆された。 2、ウイルス性心筋炎モデルにおけるスタチン系薬のマクロファージ作用:上記で確認されたスタチンの投与方法を再現し、ウイルス性心筋炎を伴う肥満症マウスの腹腔内マクロファージにおける貪食機能と細胞表面抗原発現を解析した結果、プラセボと比較してsimvastatin群では羊赤血球の貪食能がウイルス感染3日後において亢進し、同時期のCDllb(白血球機能抗原)の発現が抑制されていた。以上より、スタチンはマクロファージを標的細胞としてウイルス感染症における宿主応答を修飾する可能性が示された。今後、ヒト単球系細胞を用いてインターフェロンγ刺激下でのスタチン投与に伴う細胞表面抗原の発現変動を解析する。 3、ヒトサイトメガロウイルスに対するスタチン系薬の抗ウイルス効果:ヒト胎児肺線維芽細胞へのウイルス(Towne株)感染実験において、mevastatinやlovastatinの共培養(濃渡0.1μM)でウイルス産生の抑制作用が確認された。このような抗ウイルス作用の機序を検討する目的で、DNAマイクロアレイを用いて感染早期⇒後期における細胞遺伝子発現の網羅的解析を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)