2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染症におけるスタチン系薬の宿主応答作用と抗ウイルス作用の解明
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19591187
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 孝 Kitasato University, 大学院・感染制御科学府, 研究員(客員教授) (00292855)
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Keywords | ウイルス感染症 / スタチン / 宿主応答 / 抗ウイルス作用 |
Research Abstract |
1、ウイルス性心筋炎モデルにおける白血球機能抗原阻害薬の生存効果:スタチン骨格を有する白血球機能抗原阻害薬(LFA703)をスタチン(simvastatin)の投与法と同様に心筋炎ウイルス接種(500pfu/マウス)の4日前より0.5mg/kg/dayの用量で連日腹腔内投与を実施した。感染後1週間で全てのマウス(n=20)が死亡し、同薬の生存率向上の効果は確認されなかった。スタチンのウイルス性心筋炎モデルへの生存向上作用は主に白血球機能抗阻害を介して発揮される可能性は低いものと判断される。 2、ヒト単球系細胞表面抗原に対するスタチンの修飾作用:インターフェロン-γ(5unit/ml)刺激下のヒト単球系細胞(THP-1)における表面抗原(樹状細胞抗原-白血球機能抗原-細胞問接着分子抗原)の発現変動を0.1-1.0-10uM濃度のスタチン(pravastatin/simvastatin)を細胞へ曝露させてフローサイトメトリーにて解析した。インターフェロン-γ刺激により表面抗原の発現は亢進したが、スタチンによる発現亢進の抑制は見られなかった。ウイルス感染時のマクロファージ表面抗原に対するスタチン些よる応答修飾作用は低いものと推定される。 3、スタチンによるヒトサイトメガロウイルス複製抑制に関与する宿主細胞遺伝子発現の制御:ヒト胎児肺線維芽細胞とヒトサイトメガロウイルス(Towne株)・スタチン(mevastatin-0.1uM)との共培養を行い、DNAマイクロアレイ(Affymetrix GeneChip[○!R]arrays)による感染1日目→3日目での宿主細胞遺伝子群の発現変動を網羅的に解析した。感染1日目より有意に発現抑制(CDK2/ARF1/IFI16)や亢進(XRCC2/UBE2)した遺伝子群を機能解析した結果、細胞の分化増殖に関わる遺伝子群であった。ヒトサイトメガロウイルスの複製掬制はスタチンによる宿主の細胞周期の調節を介するものと推定される。
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