2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591196
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
石川 淳 National Institute of Infectious Diseases, 生物活性物質部, 室長 (40202957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石野 敬子 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (50332359)
星野 泰隆 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 研究員 (40399457)
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Keywords | 薬剤耐性 / トランスポーター / リファンピシン / レジストーム / Nocardia / モノオキシゲナーゼ / 多剤耐性 / クロラムフェニコール |
Research Abstract |
Nocardia farcinicaゲノムに存在する「全ての薬剤耐性遺伝子(レジストーム)」を明らかにし、その耐性機構を解明することを目的として、以下の研究を行った。 nfa35380遺伝子は、19年度にリファンピシン酸化酵素(モノオキシゲナーゼ)をコードすることが明らかとなったので、リファンピシン酸化物を精製、分析した結果、この酵素は新規な代謝物2'-N-hydroxy-4-oxo-rifampicinを生成することが明らかになり、その反応機構も新規であると考えられた。この物質の抗菌力は大幅に低下していたが、一部のグラム陽性菌に対しては依然として抗菌力を有していた。一方、nfa35380遺伝子の破壊株を作製した結果、破壊株のリファンピシン耐性は野生株と同等であった。したがって、N.farcinicaのリファンピシン耐性の主要なメカニズムはrpoB2遺伝子によると考えられた。 しかしながら、rpoB2遺伝子の破壊株においてnfa35380遺伝子を過剰発現させると、リファンピシン耐性が8倍になったことから、nfa35380遺伝子もある程度はリファンピシン耐性に貢献していると考えられた。また、N.farcinicaはリファンピシンを脱色・分解する活性を持つが、nfa35380遺伝子の破壊株では脱色が起こらないことから、リファンピシンの脱色・分解過程は、nfa35380遺伝子産物によるリファンピシンの酸化によって開始されると考えられた。 16個のMFSあるいはSMR型トランスポーター遺伝子の大腸菌での発現を試み、そのうち6個の発現を解析した結果、MFS型のnfa18410がクロラムフェニコール、ナリジクス酸、テトラサイクリン耐性を与えることが明らかとなり、この遺伝子がN.farcinicaのクロラムフェニコール耐性を担っていることが示唆された。
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