2007 Fiscal Year Annual Research Report
性ステロイドの肺高血圧に及ぼす影響-特発性肺動脈性高血圧の性差を鑑みて-
Project/Area Number |
19591200
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土井 庄三郎 Tokyo Medical and Dental University, 医学部附属病院, 講師 (80262195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (20134736)
今村 公俊 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 且教 (40422472)
佐々木 章人 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20328454)
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Keywords | 肺動脈性高血圧 / 血管内皮細胞増殖因子受容体阻害剤 / 新生内膜増殖性病変 |
Research Abstract |
今回研究課題として選択した"性ステロイドの肺動脈性高血圧(PAH)に及ぼす影響"は、ヒトのPAHの性差から鑑みたものであり、ヒト疾患により近似したモデルを使用することが望ましい。研究計画で考えていたモデルよりも、ヒトPAHの肺細小動脈病理変化に近似した"新生内膜の増殖病変"を有するモデルが米国で報告され(日本では使用されていない)、今年度はそのモデルの作製を試みた。 PH群は20mg/kgの血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤SU-5416を1回皮下投与し、その翌日から低酸素下で3週間飼育した。コントロール(C)群としてはSU-5416の溶媒のみを投与してroom air下で同期間飼育した。各群に関して以下のパラメターについて比較検討することにより、モデルとして適切かどうかを確認した。 その結果PH群、C群それぞれの体重増加率は2.1g/d,6.5g/dとPH群で体重増加は悪く、右室圧/左室圧比は59±22%,28±4%、右室重量/(左室+中隔)重量比は68±11%,26±2%と有意なPHモデルが作製できることが確認できた。さらに肺細小動脈の病理所見では、中膜/血管壁厚比は21.3±0.5%,6.3±0.1%と中膜平滑筋の肥厚は著明であり、PH群で明らかな新生内膜の増殖病変が認められた。 実験モデルとしての妥当性の検証に時間を費やしてしまった結果、本来の研究目的である"性ステロイドのPHに及ぼす影響"に関する結果を得られていないが、次年度に期待できるものはより実りのあるものが期待できるように思われる。
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