2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジストロフィン遺伝子異常による拡張型心筋症の治療へのアプローチ
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19591209
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木村 重美 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (60284767)
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Keywords | 筋ジストロフィー / 拡張型心筋症 / アイソフォーム / 遺伝子異常 / エクソン1 / 筋力低下なし / 全国調査 / 高CK血症 |
Research Abstract |
拡張型心筋症は、心臓の内腔が著しく拡張し、心筋の収縮不全を起こし、うっ血性心不全の臨床像を呈することが特徴である。その原因の1つとして非常にまれであるが、ジストロフィン(dy)遺伝子のエクソン1周囲(筋型)の異常で発症する報告がある。筋力低下を来さず、拡張型心筋症になる原因は骨格筋では筋型dyのアイソフォームである脳型やプルキンエ型のdyが代償して発現しているが、心筋ではその代償機構が働かないことによることが分かってきた。平成19年度は、「拡張型心筋症におけるジストロフィン遺伝子異常に関する研究」というタイトルで熊本大学のヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理委員会の承認を得た後、全国の大学病院の小児循環器科、循環器内科を中心に、筋力低下を示さず高CK血症と拡張型心筋症を示す患者の全国調査を施行した。今年度に該当する患者は今のところ1名しかなく、遺伝子解析中である。頻度自体はかなり低いことが予想される。 また、今年度はそのdyの代償機構を解明するために、アンチセンスモルフォリノをdyのエクソン1の部位に作製し、筋型dyの抑制をin vitroとin vivoで行った。未熟な筋細胞では、そのモルフォリノを導入しなくても、脳型、プルキンエ型のdyは既に発現をしていることが分かり、 in vitroの系ではこの研究は不適であることが分かった。現在、 wild typeのマウスにそのモルフォリノを腹腔内投与して、 dyのアイソフォームの代償機構を研究している。このdyの発現調節機構を調べることにより、この患者への治療法が開発される可能性がある。
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