2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジストロフィン遺伝子異常による拡張型心筋症の治療へのアプローチ
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19591209
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木村 重美 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (60284767)
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Keywords | 筋ジストロフィー / 拡張型心筋症 / アイソフォーム / 遺伝子異常 / エクソン1 / 筋力低下なし / 全国調査 / 高CK血症 |
Research Abstract |
拡張型心筋症は、心臓の内腔が著しく拡張し、心筋の収縮不全を起こし、うっ血性心不全の臨床像を呈することが特徴である。その原因の1つとして非常にまれであるが、ジストロフィン(dy)遺伝子のエクソン1周囲(筋型)の異常で発症する報告がある。dyの異常で筋力低下を来さず、拡張型心筋症のみの症状が出るのは、骨格筋では筋型dyのアイソフォームである脳型やプルキンエ型のdyが代償して発現しているが、心筋ではその代償機構が働かないことによる。平成19年度は「拡張型心筋症におけるdy遣伝子異常に関する研究」というタイトルで熊本大学のヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理委員会の承認を得だ後、全国の大学病院の小児循環器科、循環器内科を中心に、筋力低下を示さず高CK血症と拡張型心筋症を示す患者の全国調査を施行した。適応患者は1名でその遺伝子の解析をした。MLPA法による遺伝子診断では大きな欠損はなく、プロモーターを含むエクソン1には異常を認めなかった。ジストロフィンの発現調節機構を解析するためにwild typeのマウスにアンチセンス・モルフォリノを腹腔内投与して、筋型dyの抑制を試みたが、うまく抑制できなかった。また、心臓では筋型、脳型、プルキンエ型全て発現しており、マウスとヒトではジストロフィンの発現制御か違っていると思われる。dy異常を持つ拡張型心筋症とベッカー型筋ジストロフィー患者より、骨格筋よりRNAを採取LてDNAアレイを施行した。既知のpathwayに該当するものはなかった。残念ながら、今回の研究では治療法の確立には至らなかったが、ヒトとマウスでdyの発現機構に違いがあることなどが分がり、それらを解析することにより、dy欠損マウスでは筋力低下が進行しない原因が解明され、治療法につながることが示唆された。
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