2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜急性硬化性全脳炎由来の麻疹ウイルスが利用する細胞レセプターの解析
Project/Area Number |
19591216
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
綾田 稔 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 助教 (90222702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
扇本 真治 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80292853)
小倉 壽 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10115222)
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Keywords | 麻疹ウイルス / 亜急性硬化性全脳炎 / 細胞融合 / 神経病原性 |
Research Abstract |
麻疹ウイルスIC323株の遺伝子全長をコードするプラスミドを基に、個々の遺伝子をSSPE由来麻疹ウイルスの大阪1株もしくは大阪2株のそれに置き換えたウイルスを作製し検討してきた。その結果、大阪2株では、F蛋白のアミノ酸が1か所置換しただけでVero細胞において細胞融合が生じること、このアミノ酸置換がハムスターにおける神経病原性と相関していることが明らかになった。F蛋白のアミノ酸置換部位はSSPE株によって異なることから、今年度は、大阪1株のF蛋白に生じたどのアミノ酸変異が重要であるのかをさらに検討した。キメラF蛋白を用いた実験から、大阪1株のF蛋白のF2領域にVero細胞における細胞融合能と関連したアミノ酸置換が含まれることが明らかになった。個々のアミノ酸についてさらに検討したところ、F2領域の中のM94Vの置換が最も重要であることが明らかになった。したがって、大阪1株の場合には、大阪2株とは異なるアミノ酸置換がF蛋白の機能の変化に関与していることが明らかになった。今後、これらの変異を持つ組換え麻疹ウイルスを作製し、ハムスターの脳内に接種することにより神経病原性との関連を明らかにする予定である。また、SSPE由来株ではH遺伝子にもさまざまなアミノ酸置換が生じており、Vero細胞においては未知のレセプターとの結合が示唆されていることから、H蛋白のアミノ酸置換と各種レセプターとの親和性の変化を検討する必要がある。そこで、SSPE由来株のH遺伝子をもとに、麻疹ウイルスの本来のレセプターであるSLAMとの結合が生じないようなアミノ酸置換を導入したプラスミド、これまで解析されていない領域のアミノ酸置換を導入したプラスミドを構築した。次年度は、これらを用いてSSPE由来株のH蛋白のレセプターとの結合特性を検討していきたいと考えている。
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