2007 Fiscal Year Annual Research Report
慢性糸球体腎炎の進展機序におけるマクロファージの機能解析
Project/Area Number |
19591242
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池住 洋平 Niigata University, 医歯学総合病院, 講師 (70361897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60242400)
唐澤 環 新潟大学, 医歯学総合医院, 医員 (30447601)
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Keywords | 慢性糸球体腎炎 / M2型マクロファージ / CD163抗原 |
Research Abstract |
全ての慢性糸球体腎炎の進展過程にみられるマクロファージ(MQ)について、組織修復に関るM2型マクロファージに注目し、M2型MQに発現するCD163抗原陽性MQについて以下研究を進めている。 1.動物実験による解析 ラットのメサンギウム増殖糸球体腎炎モデル(Thy1.1腎炎)を用いて、ステロイド薬(プレドニゾロン:PSL)および免疫抑制薬(ミゾリビン:Miz)による治療効果を検討した。その結果、蛋白尿はMiz用量依存性に減少したが、PSL単独では蛋白尿の抑制効果が認められなかった。しかし、PSL/Miz併用群では有意な抑制効果が認められ、組織所見の改善が認められた。また,7日目の糸球体におけるSialoadhesin(Sn)陽性活性化MQ浸潤の抑制およびTGFβ、フィブロネクチン、CTGFのmRNA発現の抑制効果が認められた。PSL単独群では組織障害の改善効果は認められず、線維化に関わるCD163陽性MQの有意な増加が認められた。 2.in vitro解析 マウスMQ細胞株(J744.1)を用いた検討により、MQは炎症性サイトカイン(IL1β、TNFαなど)に暴露された後にPSLを負荷した場合にCD163発現が増加することが確認された。 以上より、PSLはM2型MQを誘導し、ある条件したでは組織障害を助長する可能性が示唆された。同時に臨床使用されているMizはメサンギウム増殖性腎炎において、組織傷害に関わるM1およびM2型MQ両者の活性化抑制を介し、糸球体障害および線維化抑制効果を発揮する可能性が示唆された。現在、in vivo,in vitroの実験系により、PSLによって誘導されるCD163陽性MQ機能について解析を進めている。
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