Research Abstract |
0menn症候群は,RAG1/RAG2遺伝子変異によりごく限られた数の自己反応性T細胞が活性化、増殖,皮膚や粘膜などに浸潤し傷害を起こすことが知られている。一方,Th2活性化を示唆する好酸球増加/活性化やlgE高値,重症アトピー性皮膚炎/紅皮症様皮膚など,Omenn症候群と極めて類似した臨床症状や検査所見を呈しながら,これとは異なる遺伝子変異を示す症例を経験する。これまでに我々が解析した,1),RAG1/RAG2遺伝子変異による典型的Omenn症候群,2)RAG欠損+第二変異による部分的機能回復,3)X-SCID+NK細胞異常増殖,4)X-SCID+第二変異によるT細胞増殖,5)Complete DiGeorge症候群+T細胞増殖,などの症例について遺伝子解析を施行,さらに末梢血リンパ球ならびに皮膚組織を対象として病態解析を施行した。これらの症例に共通して観察されて免疫学的異常は,CD45RO陰性を特徴とするナイーブT細胞(thymic output)の著しい減少と,皮膚、粘膜を標的とするeffector細胞集団の選択的増殖であった。今後は,これらの解析結果を基盤として,重症複合免疫不全症における特異な病態の発症機序,特に免疫寛容機構の異常との関連を検討する。さらに,思いのほか高頻度で観察される第二変異の普遍的意義と発症機構につやて基礎的な検討を重ねる予定である。
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