2007 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞表面抗原修飾による骨髄生着促進の機構解析
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19591250
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 正夫 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00162016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶梅 輝之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40278924)
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Keywords | 造血幹細胞 / 細胞表面抗原 / 免疫不全マウス / 異種間移植 / 細胞接着蛋白 / 生着促進 |
Research Abstract |
造血幹細胞移植においてドナー細胞の生着促進は重要な課題である。ヒト臍帯血,骨髄由来造血細胞をCD34の発現から純化し,種々の条件で短期培養を行った。無血清状態で造血細胞を2時間培養すると造血幹細胞上のケモカイン受容体の一つであるCXCR4の発現が有意に増加することが明らかとなった。2時間以上の培養では細胞死が増強した。また,好中球エラスターゼ,糖鎖分解するグリコシダーゼ処理を行うと有意ではないが,CXCR4の発現の増加が認められた。CXCR4のinhibitorであるAMD3100を培養に添加するとCXCR4の発現増加は抑制された。細胞表面のCXCR4発現増加はmRNAの発現増加に伴うものではなく,細胞内分子の細胞表面への露出の結果であることが推測された。培養後の造血細胞,AMD3100添加培養後の細胞,非培養細胞を免疫不全マウス(NOD/SCID)への移植(静脈内輸注)を行い,16時間後のホーミング活性と2か月後の骨髄再構築能を検討した。培養細胞では非培養細胞より有意なホーミング活性の増強とヒト細胞のマウス骨髄内の再構築能活性増加が認められたが,AMD3100の添加により完全に抑制された。生着したヒト細胞は骨髄顆粒球系抗原,Bリンパ球抗原を発現していることより,正常な分化能を有していることが確認された。以上の結果より,臍帯血,骨髄由来造血幹細胞は2時間の培養により,CXCR4の発現増強を介して骨髄生着促進が認められることが明らかとなった。少量の造血幹細胞による造血幹細胞移植の臨床応用への可能性が示唆された。
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