2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞表面抗原修飾による骨髄生着促進の機構解析
Project/Area Number |
19591250
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 正夫 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00162016)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶梅 輝之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40278924)
|
Keywords | 造血幹細胞 / 細胞表面抗原 / 免疫不全マウス / 異種間移植 / 細胞接着蛋白 / 生着促進 |
Research Abstract |
造血幹細胞移植においてドナー細胞の生着促進は重要な課題である。ヒト臍帯血由来造血細胞をCD34の発現から純化し,種々の条件で培養を行った。培養細胞を造血幹細胞上のケモカイン受容体の一つであるCXCR4の発現と免疫不全マウス(NOD/SCID)への移植(静脈内輸注)を行い,16時間後のホーミング活性と8〜10週後の骨髄再構築能を検討した。2時間の無血清培養,好中球エラスターゼ,糖鎖分解するグリコシダーゼ処理を行うとCXCR4の発現の有意な増加が認められた。CXCR4のinhibitorであるAMD3100を培養に添加するとCXCR4の発現増加はほぼ完全に抑制された。細胞表面のCXCR4発現増加はmRNAの発現増加に伴うものではなく,細胞内分子の細胞表面への移行の結果であると考えられた。培養後の造血細胞,AMD3100添加培養後の細胞,非培養細胞を免疫不全マウス(NOD/SCID)への移植の結果,16時間後のホーミング活性,8〜10週後のマウス骨髄再構築能ともにCXCR4の発現が増強された細胞で有意なホーミング活性の増強とヒト細胞のマウス骨髄内の再構築能増加が認められた。Am3100の添加によりこの効果は完全に抑制された。生着したヒト細胞は骨髄顆粒球系抗原, Bリンパ球抗原を発現していること,二次移植でも生着が認められたことより,臍帯血由来造血幹細胞は2時間の培養により,自己複製能を維持しながら,CXCR4の発現増強を介して骨髄生着促進が認められることが明らかとなった。少量の造血幹細胞による造血幹細胞移植の臨床応用への可能性が示唆された。
|