2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト造血幹細胞の加齢に関する研究-造血幹細胞の年齢測定法の確立-
Project/Area Number |
19591257
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 嘉文 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20260680)
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Keywords | 加齢 / ヒト造血幹細胞 / 造血細胞移植 / CD133陽性細胞 |
Research Abstract |
造血幹細胞の加齢に関する研究はマウスで行われてきた。マウス造血幹細胞で加齢マーカーになりうる指標はテロメア、テロメラーゼ活性、活性酸素種(ROS)の細胞内蓄積、p16^<INK4a> mRNAの増加、などが報告されてきた。マウスではserial translantationという実験手法が可能で、移植による造血幹細胞の加齢(老化)現象が確認されているが、ヒトでは不可能な方法である。我々はヒト造血幹細胞をCD34陽性細胞やCD133陽性細胞として純化し、ヒト造血細胞移植術によるヒト造血幹細胞の加齢(老化)現象の解明を目指してきた。一連の研究で、ヒト細胞のテロメア長は経年的な漸減傾向を示さないため加齢の指標に利用しにくいこと、ヒト造血幹細胞内に蓄積されるROSは移植によって短期的には変動しないことを確認した。また、p16^<INK4a> mRNAはヒト正常造血幹細胞での発現はきわめて微弱で検出が困難であった。これらの結果から、マウス造血幹細胞で証明されている加齢(老化)マーカーはヒト造血幹細胞では指標にならないことが判明した。マウスとヒトの造血幹細胞純化に使用される抗体は異なり、対象となる細胞の分化過程に大きな違いがあることが原因と考えられた。個々の細胞の加齢(老化)を検討しようとする方法の限界であった。
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