2008 Fiscal Year Annual Research Report
DMA含有免疫複合体が自然免疫を介してループス腎炎の病態に及ぼす影響について
Project/Area Number |
19591260
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
伊藤 秀一 National Research Institute for Child Health and Development, 腎臓科, 医長 (20336572)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / TLR(toll-like receptor)9 / ループス腎炎 / 糸球体上皮細胞 / synaptopodin / 免疫複合体 / DNA |
Research Abstract |
昨年に引き続き、SLE患者の腎組織の免疫染色を継続した。糸球体におけるTLR9の発現は、正常の糸球体やループス腎炎寛解期の糸球体では認められず、腎炎の増悪期のみに認められた。さらに、TLR9とSynaptopodinの二重染色により、TLR9は糸球体上皮細胞に一致して発現していることが判明した。また、TLR9が強発現する時期は、血清学的に抗二重鎖DNA抗体の上昇と低補体血症を認める時期であり、血中にDNA含有免疫複合体が多い時期に一致することが推測された。前年度に明らかにした、ループス腎炎の急性期や増悪期には、synaptopodin、nephrin、podocin等の糸球体上皮細胞スリット膜関連蛋白の発現が減少傾向にある事実から、TLR9が糸球体上皮細胞傷害に関与する可能性が推測された。 この結果を基にマウス由来糸球体上皮細胞(MPC)をcytokineやDNA含有免疫複合体で刺激し、real time PCRでTLR9の発現を評価した。この結果、正常では認められなかったTLR9の発現が認められたものの、統計学的な有意差を認める程度ではなく、MPC自体の特性も問題であると考えられた。そこで、MPCにTLR9遺伝子の導入を行い、同様の刺激を行ったところ、MIP1αやINF-βの発現増強を認めた。このことよりTLR9を発現した糸球体上皮細胞は、DNA含有免疫複合体によりループス腎炎における炎症病態に関与することが推測された。今回の知見は、ループス腎炎の活動性の新たな指標や自然免疫系をターゲットとした新たな治療法の開発などにつながる可能性を秘めている。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] 小児期発症全身性エリテマトーデスと混合性結合組織病の臨床的特徴の差異と抗U1・RNP抗体の意義2008
Author(s)
宮前多佳子, 伊藤秀一, 町田裕之, 小澤礼美, 樋口るみ子, 中島章子, 今川智之, 中村智子, 森雅亮, 相原雄幸, 大重賢治, 横田俊平
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Journal Title
日本臨床免疫学会会誌 31
Pages: 405-411
Peer Reviewed
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[Presentation] 小児期発症SLEに対するミコフェノール酸モフェチルの有効性2008
Author(s)
金子詩子, 佐野史絵, 原良紀, 笠井和子, 中野直子, 篠木敏彦, 町田裕之, 宮前多佳子, 伊藤秀一, 今川智之, 他
Organizer
日本リウマチ学会総会・学術集会・国際リウマチシンポジウムプログラム・抄録集52回・17回
Place of Presentation
札幌
Year and Date
2008-04-21