2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖を介する生体内機能分子へのレクチン経路の関与と疾病への影響
Project/Area Number |
19591265
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
寺井 格 Rakuno Gakuen University, 酪農学部, 教授 (40337043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真船 直樹 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (70241304)
小林 邦彦 北海道大学, 名誉教授 (60091451)
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Keywords | マンノース結合レクチン / 補体活性化 / レクチン経路 / 糖蛋白 / 活性酸素 / 虚血再潅流障害 / 糖鎖 |
Research Abstract |
ヒト免疫グロブリン(Igs)を始めとする生体内機能性糖蛋白を固相化したマイクロタイタープレートに、37度、過酸化水素-硫酸銅溶液による酸化ストヒスを加え、活性酸素で変性した機能性糖蛋白へのヒトMBL(マンノース結合レクチン)の結合性を調べた。糖鎖含量が多いヒトミエローマIgE(Des)やIgM(Loy)IgA2m2(Kur)では、MBL結合性の上昇が認められた。酸化試薬濃度、反応時間、両者共に多すぎると結合性が低下し、糖蛋白質の個々に至適濃度、至適反時間があることが分かった。結合はEDTAで阻害され、Ca依存性であると考えられた。マンナンも同様の反応を行うと、ある至適条件下では結合性め増大が認められた。生体内に生じた活性酸素がN型糖鎖を切断するとの報告があることより、結合性の増大は、活性酸素により糖鎖末端のシアル酸やガラクトースを含む部分が除去され、マンノースなどが末端に露出したことにより生じ、結合性の低下は、活性酸素による糖鎖の切断が更に進み、マンノースなどが除去されたことにより生じたと考えられた。臓器移植や心臓・大血管の手術後、再度血流が回復する場合に臓器障害が認められるが、その再灌流障害を引き起とす原因はいまだに明らかとなっていない。最近、虚血再灌流(I/R)により傷害を受けた血管内皮細胞にMBLが結合、レクチン経路が活性化されるという報告がなされた。MBLは、糖鎖末端のシアル酸やガラクトースを除去したり、酸などで変性したIgsと結合し、レクチン経路を活性化することを我々は確認しており、I/R障害に関しては、急激な血流再開と酸素負荷により活性酸素が生じ、血管内皮細胞表面分子やIgsなどの糖蛋白の糖鎖を切断し、それにMBLが結合する、あるいは傷害された血管内皮細胞に変性Igsが結合し、それにMBLが結合、レクチン経路が活性化される、という可能性が考えられる。
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