2009 Fiscal Year Annual Research Report
鶏卵アレルギーにおける卵白特異的T細胞応答ならびに制御性T細胞の解析
Project/Area Number |
19591267
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
柘植 郁哉 Fujita Health University, 医学部, 教授 (00231431)
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Keywords | 鶏卵アレルギー / 特異的免疫療法 / TH1 / TH2バランス / 抑制性サイトカイン |
Research Abstract |
食物アレルギーの診断・治療には未だ多くの課題が残されているが、近年、食物アレルギーに対するアレルゲン特異的免疫療法が注目され、有効性を示す報告が集積されつつある。我々もこれまで、低アレルゲン化された加熱脱オボムコイド卵白を用いた経口免疫療法を試み、約50%の症例で卵白経口負荷試験の陰性化を認めている。本年度は、この免疫療法の有効性を向上させる目的で、残存するオボムコイドのアレルゲン性をやや増加させた加熱鶏卵を用いて新たな免疫療法のプラセボコントロール試験を試みた。対象は5歳から20歳の加熱卵白負荷試験陽性の鶏卵アレルギー患者37名で、文書による同意を得た。その結果、実薬群では1ヵ月で6/23(26.1%)、2ヵ月で9/23(39.1%)の寛解率、偽薬群では1/11(9.1%)の幹あき率寛解率であった。治療前後で、アレルゲン特異的T細胞応答を中心に、各種免疫学的パラメーターを検討したところ、(1 卵白特異的IgEは変化が見られないが、特異的IgG4が増加し、(2)アレルゲン特異的Th1/Th2反応の両者の抑制が見られ、逆に抑制性サイトカインであるTGF-β産生が増加する傾向が認められた。これらより、本免役療法によりTGF-βを産生するアレルゲン特異的抑制性T細胞が誘導され、アレルゲン特異的なTh1/Th2両者の反応を抑制したために、耐性化に至ったと推測された。今後、さらに症例を増やすとともに、1ヵ月に比べ2ヵ月間治療を継続することで耐性化率が向上したことから、さらに治療期間を延長することによる耐性化率の向上を目指して検討中である。
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Research Products
(4 results)