2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製を障害する抗癌剤の作用メカニズムの解明と治療への応用
Project/Area Number |
19591274
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
岡村 純 Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center, 臨床研究部, 臨床研究部長 (40360854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 信弥 国立病院機構九州がんセンター, 臨床研究部, 研究室長 (40333372)
倉岡 功 国立病院機構九州がんセンター, 臨床研究部, 研究室長 (60335396)
瀧口 総一 国立病院機構九州がんセンター, 臨床研究部, 研究員 (00280793)
田口 健一 国立病院機構九州がんセンター, 臨床研究部, 研究員 (40325527)
山中 竹春 国立病院機構九州がんセンター, 臨床研究部, 研究員 (00325466)
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Keywords | DNA複製 / 抗癌剤 / 代謝拮抗剤 / 塩基アナログ / Chain terminator / DNAポリメラーゼ |
Research Abstract |
本研究は、メソトレキセート(MTX)、6-MP、Ara-Cといった抗癌剤がDNA複製を障害する分子メカニズムを明らかにし、この過程を修飾する諸因子を明らかにすることを目的としている。さらには、このような感受性因子候補の多様性を実際の腫瘍細胞/組織で探索し、得られた解析結果と治療効果との関係をレトロスペクティブに検討することで、プロスペクティブな臨床研究をデザインすることをも目的としている。平成19年度は、Ara-C, 6-MPなどの塩基アナログ、およびメソトキセート(MTX)などの葉酸拮抗剤が、DNA合成においてDNAポリメラーゼがヌクレオチドを取り込む反応を阻害する具体的な分子メカニズムをまず明らかにすることを計画した。この目的には、ヒト細胞において主にDNA複製を担うDNAポリメラーゼepsilonやdeltaをin vitro に得る必要がある。このような精製標品を用いて、プライマー伸長反応や2本鎖環状DNA(プラスミド)基質を用いたgap-filling反応により、in vivoのDNA複製を再現する系を構築することかできる。このような系において、上述した薬剤のDNA複製に対する効果を観察する。とくに、複製が停止した部位における構造を、プラスミド基質を大腸菌ホストに回収することで、PCRやDNAシーケンシングにより明らかにできる。また、細胞粗抽出液を用いることで、DNA複製が停止した部位においてDNAポリメラーゼと相互作用する分子を同定することかできる。現在、このような解析系の構築を目指し、プラスミド基質を用いたgap-fillingアッセイやヒトDNAポリメラーゼdelta複合体の精製などにつき、準備を進めている。
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