2008 Fiscal Year Annual Research Report
活性化プロテインCを用いたアポトーシス制御による新生児脳障害の治療に関する研究
Project/Area Number |
19591278
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横山 直樹 Kobe University, 医学部附属病院, 准教授 (20314487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 真次 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10346257)
森岡 一朗 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80437467)
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Keywords | protease-activated receptor-1 / heme oxygenase-1 / Tin mesoporphyrin |
Research Abstract |
昨年度の研究では、protease-activated receptor-1(PAR-1)のリガンドになり得る蛋白は神経細胞自らがautocrine制御しているが、グリア系細胞は凝固線溶系の活性バランス調節を介して間接的にPAR-1制御に作用することで、神経細胞の分化や障害防護に影響を及ぼしている可能性が示唆され、これらを制御することが新生児脳障害治療の戦略になると考えられた。今年度は、これら細胞防護の観点から臨床への応用を想定し、熱ショック蛋白であるheme oxygenase-1(HO-1)の関与について研究した。新生児脳障害の一つである核黄疸の発症予防には、高ビリルビン血症の予防すなわちビリルビン上昇の抑制が不可欠である。そのためには、ビリルビンの産生過程に関わるHO-1が重要な役割を担っていると考えられる。そこで我々は、マウスにheme oxygenaseの競合的拮抗薬であるTin mesoporphyrin(SnMP)を投与しHO-1の発現への影響・効果について検討した。その結果、マウスモデルにおいて標的臓器の肝臓では、SnMP投与後にheme oxygenase活性抑制効果を示し、その効果は投与後も持続した。一方で、SnMPはHO-1遺伝子を誘導するため、SnMP投与後には蛋白を誘導しビリルビン産生を増加させるリバウンド現象が生じる可能性がある。しかし、我々の検討では、この遺伝子誘導は一過性であり、SnMPのheme oxygenase活性挿制効果に影響を与えないことを確認した。以上より、アポトーシスに関わるHO-1を抑制するSnMPが予防薬として臨床応用できることが示唆された。さらに、近年、低酸素性虚血性脳症に対する後障害予防目的に脳低温療法が普及しつつある。我々の施設でも積極的に治療を行い良好な成績を残している。今回の研究において、アポトーシス制御による新生児脳障害に対する予防的治療の有効性・可能性が示された。
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