2009 Fiscal Year Annual Research Report
新生児慢性肺疾患治療法の開発:NO吸入療法による肺線維化の抑制
Project/Area Number |
19591286
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
奥谷 貴弘 Wakayama Medical University, 医学部, 講師 (60336881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 隆造 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (70156579)
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
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Keywords | 新生児慢性肺疾患 / 一酸化窒素吸入療法 / 肺線維化 |
Research Abstract |
本研究は新生児慢性肺疾患を起こす危険性の高い極低出生体重児の,血液中・気管支肺胞洗浄液中のアンジオテンシンII,TGF-β,VEGFなど肺線維化と新生児慢性肺疾患に関連する物質濃度を経時的に測定し,極低出生体重児における各種物質の日齢による経時的変化の基礎データを作成すること,そして低用量の一酸化窒素(NO)吸入療法を行うことにより,それらの物質濃度がどのように変化するかを解析し,一酸化窒素吸入療法が新生児慢性肺疾患・肺線維化の予防法になりうることを証明しようとするものである. 本年度は得られた気管支肺胞洗浄液と血漿検体におけるアンジオテンシンII,VEGFなどの濃度測定を各種ELISAキットを用いて測定を繰り返した.また,それらの日齢による経時的変化を種々の解析ツールによって多角的に検討した. 気管支肺胞洗浄液におけるVEGF濃度測定結果は分散が大きく,経時的にも有意な傾向は認められなかった.しかし血漿中のアンジオテンシンII濃度は目齢21をピークとする経時的変化を示し,慢性肺疾患を有する児の方が有意に高値を示した,血漿中のVEGF濃度もアンジオテンシンIIと同様の経時的変化を示し,日齢とともに増加する傾向にあった.しかし血漿中VEGFについては慢性肺疾患を有する児の方が高値を示す傾向にあったが,統計学的有意差は認められなかった. これら物質の生後1ヶ月間という長期にわたる経時的変化の報告はこれまでになく,今後の新生児医療・臨床研究に大きな福音をもたらすと考えられる.
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