2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞・コンドロイチナーゼ併用投与による周生期脳損傷修復機構の解明
Project/Area Number |
19591290
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
中西 圭子 Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 周生期学部, 主任研究員 (50280813)
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Keywords | 新生児低酸素性虚血性脳症 / 神経幹細胞 / Oxygen glucose depletion / ニューロングリア共培養系 |
Research Abstract |
脳性麻痺の主要な原因のひとつである新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)に対しては、脳低体温療法はあるものの重症例には効果がなく,新規治療法の開発は新生児医療にとって急務の課題である。これまでに、私達はラットHIEモデルを用いて、神経幹細胞移植とともにコンドロイチナーゼという酵素を投与するとHIEにより脳梗塞が軽減することを発見したが、その機序は不明のままである。今後、本治療法を臨床的に有用であるか否かを検討していくためには、この機序を明らかにする必要がある。本研究では、神経幹細胞・コンドロイチナーゼ併用投与による周生期脳損傷修復の分子機構を明らかにするとともに、神経幹細胞由来神経保護因子を同定し、周生期脳損傷の新たな治療法として応用することをめざしている。 今年度はまず、脳損傷修復の分子機構を簡便に探索できるように、hypoxia-ischemia in vitroモデル系の確立をめざした。具体的には、ラット胎仔神経細胞を2週間培養し、培地を無グルコース溶液に変えて3時間低酸素処理(1%、oxygen glucose depletion; OGD)を行った。しかし、3時間では神経細胞の障害は観察されなかった。これを、22時間にしたところ、対照群(含グルコース溶液で20%酸素処理)でも細胞はかなり障害されていた。しかしながら、アストロサイト上に神経細胞を培養したニューロングリア共培養系を用いて同様の実験を行ったところ、無グルコース低酸素処理群ではニューロンもグリアも全滅したのに対し、対照群では明らかな障害を認めなかった。今後は、このニューロングリア共培養系を用いてさらに適切な低酸素条件をみつけ、神経幹細胞・コンドロイチナーゼ併用による神経保護作用機序を明らかにしていく予定である。
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