2007 Fiscal Year Annual Research Report
温熱感受性受容体の作動薬を基にしたダリエー病の治療薬の開発
Project/Area Number |
19591302
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 健造 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (80291425)
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Keywords | ダリエー病 / ヘイリー・ヘイリー病 / SERCA2 / ハプロインサフィシエンシー / 優性遺伝 / 角化症 / バニロイド / カンナビノイド |
Research Abstract |
米国BioMol社より市販されている約200種の脂溶性薬剤ライブラリーと分子量200-500程度の低分子水溶性薬剤を中心にスクリーニングに供した。 1) ヒト表皮角化細胞(ケラチノサイト)の細胞株(HaCaT,HSC4など)の培養液中に、10-500ナノモル程の濃度の生理活性試薬を添加し、6時間後と12時間後にRNAを逐次抽出しダリエー病の原因であるSERCA2遺伝子を検量した。 2)この1次スクリーニングの結果、カンナビノイド、バニロイド作動薬がそれぞれ、表皮角化細胞に発現するCB1/2受容体、TRPV3/4受容体を介して、SERCA2遺伝子の発現を亢進することを発見した。これらの薬剤は器官培養したヒト皮膚組織あるいはマウス皮膚においても、SERCA2遺伝子、蛋白の発現を更新した。次に、ダリエー病患者皮膚より表皮角化細胞の培養を樹立し、それを分化・重層化し3次元化したモデル皮膚を作成することで、病理学的にダリエー病の病態が、人工環境の3次元培養下で再現していることを確認しえた。この3次元モデル皮膚に上記のカンナビノイド・バニロイド作動薬を添加することで、ダリエー病の病態、特に異常角化・個別角化の消失を確認し得た。 さらには患者皮膚の剥離小切片をヌードマウスに移植し生着後に、これら薬剤を外用することで、特にカンナビノイド作動薬が、よりダイナミックにダリエー病に特有の異常角化、棘融解、円形体などの病理像を完璧に改善するのみでなく、穎粒層の形成も伴う健常な角化プロセスを回復し、異常角化への強い抑制効果があることを発見した。
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