2008 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚におけるarteminの発現機構とその分子生理学的役割の検討
Project/Area Number |
19591304
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
室田 浩之 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (90363499)
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Keywords | 皮膚生理学 |
Research Abstract |
神経栄養因子arteminの皮膚における発現と機能の解析を行った。 a.arteminによる温度痛覚過敏誘導機序の解析を行った。マウスの脊髄後根神経節細胞を単離培養し、in vitroでサブスタンスP、リコンビナントartemin存在下にて培養を行ったところ、TRPV1の発現更新が認められた。Arteminによる温度痛覚過敏亢進はTRPV1誘導に伴う現象である可能性が示唆された。アトピー性皮膚炎皮膚病変部では末梢神経にTRPV1が高発現していることを免疫染色にて確認したが、arteminはこのTRPV1の発現誘導、およびアトピー性皮膚炎における「暑がり」な体質に貢献しているのではないかと想像された。b.GFRa3KOマウスに対するcompund48/80投与による掻破行動:野生型とGFRa3KOマウスにcompound48/80を背部皮膚皮内注射し、掻破の行動を30分間ビデオ撮影し観察した。掻破回数はKOマウスで有意に低下していた。Artemin/GFRa3の系は肥満細胞の脱顆粒に伴う掻痒にも関与していると考えられた。このことからarteminは神経伸長に関与するのみならず、「痒み」感覚にも影響を与えていると考えられた。 c.マウスの背部皮膚、および足底皮膚に3回/週で2週間、サブスタンスP、リコンビナントartemin、溶媒を皮内注射し、皮膚神経支配を確認した。PGP9.5陽性神経線維はarteminとサブスタンスPによってsproutingしていた。同線維はサブスタンスP含有神経線維であった。In vivoでもarteminが神経伸長に関与するとが証明された。 d.GFRa3KOマウスにおける圧感覚および温度痛覚過敏の検討:圧感覚をdynamic plantertestで、温度痛覚過敏をtail-flick test, hargreaves testを用いて検討した。GFRa3KOマウスでは圧感覚の異常を認めなかったが、45度以上の温度痛覚鈍麻を認めた。このことからarteminが温度痛覚過敏に関与していることの傍証が得られた。
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Research Products
(3 results)