2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治性アレルギー性皮膚疾患の新規バイオマーカーと新規治療法の開発研究
Project/Area Number |
19591320
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
池澤 善郎 Yokohama City University, 医学研究科, 教授 (90046128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 道子 横浜市立大学, 附属病院, 教授 (90231753)
池澤 優子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80457879)
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Keywords | アトピー性皮膚炎(AD) / AD自然発症モデルマウス / Th1 / Th2サイトカイン / IL-18 / Super Th1 / Hemoxygenase-1 / Semaphorin3A(Sema3A) / 痒み |
Research Abstract |
1)痒みの強い湿疹病変では肥厚した表皮内に多神経線維が侵入しており,ヒト皮膚NGFの非侵襲的な測定方法としてtape-stripping法により角層内のNGFを定量する方法を確立し,測定された角層NGF値はAD患者の〓痒や皮疹の状態を反映することから,痒みの強い皮膚病変における末梢神経の表皮内侵入に関係し,アトピー皮膚炎(AD)の病勢や治療効果の評価法として有用な検査となることを示した。 2)ADはTh2細胞優位の疾患とされていたが,近年慢性期の病態形成にTH1細胞の関与が示唆され,血清IgE値が高いextrinsic型と血清IgE値が余り上昇しないintrinsic型に分類されるが,AD様皮疹が皮表の黄ブ菌の増加を伴って自然発症するDS-Nhマウスは,Staphylococcal enterotoxin B(SEB)による所属リンパ節細胞の刺激培養でIL-4でなくIFN-γとIL-13の産生が上昇し血清総IgE値の軽度上昇を伴ってAD様皮疹が発症・悪化することから、intrinsic型に類似し、血清IL-18値が皮疹スコアと有意に相関してsuper Th1細胞が主役のADの自然発症マウスに相当することが示された。従って、AD患者の血清IL-18値もAD皮疹スコアと有意に相関するため、ヒトAD病態もDS-Nhマウスと同様にsuper Th1細胞が関与している可能性が高いことを示した。 3)DS-NhマウスでTNCB感作前のCyclophosphamide(Cy)投与群では無投与群に比べAD様皮疹が増強し、SEB刺激所属リンパ節細胞のIFN-γやIL-13の産生が上昇したが、血清IgE値は上昇せず、TNCB感作直前にCy無投与マウス由来のCD25+CD4+T細胞を移入することでCy投与によるAD様皮疹の悪化と皮表黄ブ菌数の増加に対し抑制効果を示し、Cy投与1日後の脾臓や腸間膜リンパ節のCD25+CD4+Foxp3+T細胞比率が低下したため、抑制活性のあるCD25+CD4+Foxp+調節T細胞はCD25-CD4+superTh1細胞によるIFNγとIL-13の産生を抑制してAD様皮疹発症を免疫調節することが示唆された。 4)AD患者や前述したDS-Nhマウスの血清や皮膚において環境ストレスを抑える作用がある Hemoxygenase-1(HO-1)が増強し、HO-1を誘導するヘミンの投与がDS-NhマウスにおけるAD様皮疹の発症・悪化を抑えることを示した。 5)Semaphorin3A(Sema3A)をADのモデルマウスNC/NgaのAD様皮疹部に連日局所注射することで掻爬行動が抑制されてAD様皮疹が改善し、神経線維の表皮内侵入の減少とCD4+T細胞等の炎症性細胞浸潤の減少が認められたことから、将来Sema3AがADの新規治療薬として有望であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Hemo oxygenase 1 attenuates the development of atopic dermatitis-like lesions in mice : Implications for human disease2008
Author(s)
Kirino M, Kirino Y, Takeno M, Nagashima Y, Takahashi K, Kobayashi M, Murakami S, Hirasawa T, Ueda A, Aihara M, Ikezawa Z, Ishigatsubo Y
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Journal Title
J Allergy Clin Immunol 122
Pages: 290-297
Peer Reviewed
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[Journal Article] Semaphorin3A alleviates skin lesions and scratching behavior in NC/Nga mice, an atopic dermatitis model2008
Author(s)
Yamaguchi J, Nakamura F, Aihara M, Yamashita N, Usui H, Hida T, Takei K, Nagashima Y, Ikezawa Z, Goshima Y
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Journal Title
J Invest Dermatol 128
Pages: 2842-2849
Peer Reviewed
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