2008 Fiscal Year Annual Research Report
スタチンによる糖尿病性潰瘍の新規治療法に関する研究
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19591321
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
竹中 秀也 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 講師 (80254358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 純 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50438222)
伊井 正明 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞医療応用研究チーム, 研究員 (10442922)
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Keywords | 創傷治癒 / 細胞・組織 / 再生医学 |
Research Abstract |
難治性皮膚潰瘍のモデルである2型糖尿病マウス(C57BLKS/J-m^<+/+>Lepr^<db>)を用いて、背部に皮膚全層欠損創を作成し、スタチン(rosvastatin)の全身投与および局所投与を行い、その有効性を主にin vivoで検討した。創作成から、7日目、14日目の創の観察では、腹腔内注射による全身投与群および白色ワセリンに溶解させた局所投与群において、コントロール群に比べて有意に高い創面積の縮小率が認められた。また、創の組織学的な検討により、スタチン投与により潰瘍部肉芽組織において、コラーゲンの増生などの成熟促進の効果が確認された。CD31の免疫染色により、血管新生の促進効果も確認された。さらに肉芽組織におけるリンパ管新生についても、リンパ管内皮細胞のマーカーであるLYVE-1で染色し、リンパ管内皮をラベルした。スタチン治療群では、LYVE-1陽性細胞は対照群と比較して有意な増加を認めた。 本研究では、スタチンの血管新生促進作用に着目し、糖尿病性潰瘍などの難治性潰瘍に対する新規治療法の開発に向けて実験を行っているが、スタチンの糖尿病性潰瘍に対する治療効果が動物実験で実証された。スタチンの投与により肉芽組織の成熟促進効果が見られたが、これは一部はスタチンの線維芽細胞に対する直接効果であることが示唆され、スタチンにこのような効果があることは新知見であると考えられる。特記すべきこととして、スタチンの外用薬としての局所投与による効果が、全身投与と同様あるいはそれ以上の効果を示した。このことは、糖尿病性潰瘍のスタチンによる臨床的な治療を考えた場合に、副作用が少なく、投与法も簡便な外用療法という治療法として確立いていく上で非常に有用なデータである。
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