2007 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的発現解析で同定した悪性黒色腫高発現遺伝子の病態解析と診断・治療への応用
Project/Area Number |
19591327
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松崎 ゆり子 Keio University, 医学部, 助教 (40255435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 癌悪性形質 / 網羅的遺伝子発現解析 / RNA干渉 |
Research Abstract |
悪性黒色腫で選択的に発現する新規分子の同定は、悪性黒色腫発症の解明に有用であるだけでなく、同定分子を標的とした新しい診断法・治療法の開発に臨床応用できる可能性が高い。本研究では、DNAチップやSAGE法などを用いた網羅的遺伝子発現解析により、我々が同定してきたヒト悪性黒色腫で選択的或いは高発現する分子のうちKU-MEL-4、KU-MEL-5、KU-MEL-6、及びKU-MEL-7について、癌細胞悪性形質への関与や免疫学的意義を明らかにするとともに臨床応用の可能性を検討した。まず、各候補遺伝子のヒト悪性黒色腫組織及び細胞株について、RT-PCR及び定量PCRでmRNA発現を解析し確認したところ、各候補遺伝子ともヒト正常組織及び細胞株でほとんど発現が見られなかったのに対し、ヒト悪性黒色腫組織及び細胞株では高頻度或いは選択的に高発現が確認された。特にKU-MEL-4は正常組織0/10、正常培養細胞1/4で色素細胞でのみ発現が見られたのに対し、ヒト悪性黒色腫組織2/9、悪性黒色腫培養細胞24/27で選択的に高発現を認めた。また各種KU-MEL-4ファミリー遺伝子も同様に悪性黒色腫培養細胞で高発現であり、同時に受容体も高発現18/24を認めたことから、KU-MEL-4はパラクラインだけでなくオートクラインにも機能している可能性が示唆された。さらに各候補遺伝子について悪性黒色腫細胞における機能解析を行うために、RNAiを用いたmRNA発現抑制による機能阻害実験や遺伝子導入による強制発現実験を行い、癌形成や転移などに関わる基本的形質について検討した結果、KU-MEL-5遺伝子を抑制した悪性黒色腫株では細胞増殖能、遊走能が低下し、強制発現により細胞増殖能、接着能が亢進した。以上より、各候補遺伝子は悪性黒色腫の悪性形質に関与しており、診断マーカーや治療にも応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)