2008 Fiscal Year Annual Research Report
早期介入に向けた早期精神病の病相特異的病態の解明 : 脳構造、認知機能、症候学の検討
Project/Area Number |
19591336
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 和紀 Tohoku University, 病院, 講師 (40301056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日向野 修一 東北大学, 病院, 准教授 (20173148)
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Keywords | 統合失調症 / 早期介入 / 前駆期 / 脳構造 / 精神生理学 |
Research Abstract |
本研究は、早期精神病に対して適切な早期介入を行うために、早期精神病の病相特異的な病態を明らかにしていくことを目的としている。本年は、東北大学病院精神科内に設置したARMS専門外来(SAFEこころのリスク外来)に通院中のARMSの患者10名(男5:、女:5)と、それに年齢および性別を一致させた健常対照者10名(男5:、女:5)とを被験者とした。ARMSの導入基準は、Comprehensive Assessment of At-Risk Mental State (CAARMS)の日本語版に基づいて行った。1.5テスラのMagnetic Resonance Imaging (MRI)にて3次元T1強調画像を撮像し、得られた画像データをStatistical Parametric Mapping (SPM)を用いたVoxel-Based Morphometry (VBM)により解析した。なお、本研究は、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得ており、ヘルシンキ宣言を遵守して施行された。被験者に対しては口頭および文書で本研究の説明を十分に行い、文書での同意を得た。 ARMS群と健常対照群との群間比較では、ARMS群において、左側の下側頭回から角回にかけての側頭領域での有意な体積減少が認められた。ARMS群において、健常対照群と比較して有意に体積が増加している領域は認められなかった。 今回の検討は症例が少なく予備的ではあるが、ARMSの段階においても、特に側頭領域において、大脳皮質の体積減少が認められる可能性が示された。ARMSは精神病へ移行するリスクが高い精神状態であるが、必ずしも後々の発症を前提としておらず、その後に精神病に発展した群と、発展しない群の2群に分けられる。今後は、ARMS症例のその後の経過や統合失調症との比較なども含めて、詳細な検討が必要である。
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Research Products
(5 results)