2007 Fiscal Year Annual Research Report
2次性の過眠症の原因検討と、摂食障害における視床下部の神経ペプチドを検討すること
Project/Area Number |
19591338
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
神林 崇 Akita University, 医学部, 准教授 (50323150)
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Keywords | オレキシン / 過眠症 / 多発性硬化症 / アクアポリン4 / 神経性食指不振症 / AGRP / αMSH |
Research Abstract |
(1)オレキシン神経が障害されるために起こる2次性の過眠症の病態を検討をすること(2)摂食障害における視床下部の神経ペプチドを定量し、病態を究明すること。 (1)傍正中視床下部の脱髄性病変により2次性にオレキシン神経が障害された過眠症の報告は多くなされているが、なぜ視床下部の正中部が特異的に障害されるのかが非常に不可解であった。2004年にMSのサブタイプであるNMO (OSMS)に特異的に検出される自己抗体(NMO-IgG)が発見された。その後NMO-IgGの標的抗原は脳内の水分子チャネルであるアクアポリン4(aquaporin-4, AQP4)であることが見出された。Pittock (2006)らはNMO-IgG陽性患者の脳病変についても検討しており、間脳・視床下部と第四脳室周囲の病変の分布が、AQP4の高発現部位に一致すると報告している。これまでに、視床下部脱髄の6症例の血清を検討したところ、3例でAQP4抗体が検出された。視床下部の病変はAQP4抗体の免疫反応により引き起こされたものと考えている。将来的には、傍正中視床梗塞と同様に、傍正中視床下部脱随における、2次性の過眠症の一つの疾患概念が確立できる可能性がある。 (2)オレキシンは摂食関連ペプチドであり、当初から摂食障害の原因の一つである可能性が示唆されてきた。ANの患者さんのCSFオレキシン値や摂食関連ペプチド(メラノコルチン系:αMSH, AGRP)を測定することは、それら疾患の病態生理を解明し、治療の進歩に大きな成果が得られると考えられた。AN群とcontrol群においてCSF中のオレキシン値に差は認められなかった。AgRPはAN群で3-8倍に増加していた。AgRPの増加はANの飢餓状態を反映し摂食促進系シグナルが活性化されたためと考えられる。この所見が1次的なものと言うよりは、絶食による2次的な可能性が高いと考えているが、絶食から急激に過食に至る過程等に関与している可能性を考えている。
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Research Products
(5 results)