2007 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の薬物治療反応性及び難治化を予測する生物学的因子に関する分子薬理ゲノム研究
Project/Area Number |
19591342
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 雄太郎 Niigata University, 医歯学総合病院, 講師 (60377158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
澤村 一司 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60444155)
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Keywords | うつ病治療 / テーラーメイド治療 / 新規抗うつ薬 / 血中濃度 / 寛解 / フルボキサミン / 薬理動態学 / 薬力学 |
Research Abstract |
本研究期間において、うつ病症例30名を新規エントリーし、本研究期間以前にエントリーした150と合わせてうつ病症例180名を対象に、個々の症例に合わせたテーラーメイド抗うつ薬治療の実現を目指して薬理ゲノム研究を遂行中である。 エントリーされた症例は、フルボキサミン、パロキセチン、ミルナシプランなどの新規抗うつ薬を使用する合理的な治療アルゴリズムによって治療が行われる。治療経過中に、抗うつ薬血中濃度および各種遺伝子型の同定のために採血を行う。各種セロトニン受容体、セロトニントランスポーター、ノルアドレナリントランスポーター、COMT、BDNF、シグマ1受容体、CYP2D6、P糖蛋白、UGTlAlなどの遺伝子上で抗うつ薬治療反応性への関与が示唆されている遺伝子型を同定する。そして、臨床情報、薬物動態学的・薬力学的ゲノム情報を対応させたデータベースを作成し、包括的・多変量的に解析を行っている。 本研究期間においては、フルボキサミン血中濃度とうつ病の寛解との関係を報告した。その内容は、ブルボキサミン濃度が約60ng/ml以上になると寛解する症例の割合が急激に増えるというものである。これまでの研究では、フルボキサミンを含む新規抗うつ病薬の血中濃度と臨床効果の関係は確立されていなかった。本研究では、実際の臨床と同じく低用量から治療を開始し臨床効果に合わせて用量を漸増する方法をとったこと、うつ病の寛解を臨床効果として採用したこと、などの工夫により実際の臨床にフィードバック可能な知見を得ることができたと考える。このような新規抗うつ薬の有効血中濃度の同定は、薬力学的ゲノム解析においてプラセボ反応群を省くことを可能とするものであり、治療反応性に関与する薬力学的マーカーの同定にも寄与すると考える。
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