2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症警告期の新しい診断法と早期治療法の開発 : 認知機能と脳機能画像による検討
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19591345
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
住吉 太幹 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (80286062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 康弘 富山大学, 大学病院, 講師 (80242519)
鈴木 道雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40236013)
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能 / 認知機能簡易評価尺度 / 事象関連電位 / 抗精神病薬 / 初発精神病 |
Research Abstract |
統合失調症警告期の新しい客観的・生物学的診断法の開発を目的として、短時間で施行可能な神経心理検査で測定できる認知機能障害のパターンや事象関連電位(ERP)による脳機能画像所見などを検討した。今年度は特に以下の所見を得た。 1) 初発精神病患者を含む統合失調圏疾患を有する患者における認知機能の評価を、申請者らが作成した認知機能簡易評価尺度(BACS)日本語版(BACS-J)を用いて行った。その結果、BACS-Jの要約得点はこれらの患者において予測される認知機能障害を鋭敏に検出できることが示され、同尺度の臨床場面における有用性が示唆された。 2) ERPの一つであるP300成分の発生源電流密度を、Low Resolution Electromagnetic Tomography (LORETA)を用いて検討し、統合失調症患者と健常者間で比較を行った。その結果、統合失調症患者ではP300の振幅が健常者に比べ低下しており、過去の報告と一致した。さらに、左上側頭回、左中前頭回、左中心前回、左楔前部におけるP300電流密度が統合失調症患者で低下していることが示された。この所見は、統合失調症におけるP300電流密度の三次元的分布の異常を、脳画像的に示した初めての報告である。 3) 第二世代抗精神病薬であるオランザピンによる治療の、統合失調症におけるP300電流密度の三次元的分布に対する影響をLORETAによる解析を用いて検討した。また、認知機能およびQOLの変化との関連も併せて検討した。その結果、6ヵ月間のオランザピン投与により、統合失調症患者の左上側頭回におけるP300電流密度の増加を認め、健常者の電流密度分布パターンに近づいた。さらに、その増加の程度は、オランザピンによる言語学習記憶および陰性症状の改善の程度と有意な正の相関を示した。以上の所見は、抗精神病薬を用いた治療が、統合失調症の精神病症状や認知機能障害を改善する機序を、電気生理画像的に説明する初めての報告である。
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Research Products
(4 results)