2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591349
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
谷井 久志 Mie University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40346200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸香 三重大学, 大学院・医学系研究科, リサーチアソシエイト (60456738)
中川 雅紀 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20456726)
樫本 香苗 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (00378390)
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Keywords | パニック障害 / 生物学的診断マーカー / 前頭葉機能 |
Research Abstract |
パニック障害においては特徴的で簡便なマーカーがないため、専門的な治療を受けるまでに多くの時間と労力が消費され、社会における間接的な経費の増大につながっているとの指摘もなされている。そこでパニック障害における適切な生物学的診断マーカーの開発は急務であり、根本的治療法や治療薬及び予防法開発の重要な手がかりが得られると考えられる。本研究においてはパニック障害に関する大規模なサンプリングを行い、検討対象となるパニック障害患者のサンプル数(血清、全血)で500以上、健常対照者については約200を収集した。臨床情報を解析したところ、発症年齢がより若年であったり、広場恐怖や抑うつ状態の合併においてパニック障害の重症度が増すことが見出された。パニック障害患者の初診時の各種血液検査データと臨床症状やパニック障害の重症度、COMT,MAOA多型との関連を検討したところ、特に男性において一部のモノアミン関連酵素と血清コレステロール値との関連を示唆する知見が得られた。その他診断マーカー候補の一つとして光トポグラフィー(NIRS)を用いた前頭葉機能の検討を行い、一卵性双生児不一致例において罹患者と健常者の双方で賦活の低下を認めた前頭前皮質内側部についてパニック障害のTrait marker、罹患者のみで賦活の低下を認めた前頭葉外側部についてはState markerとなる可能性が示された。中間表現型の検討としてはCOMTVal 158Met多型の低活性型(met/met多型)において左前頭葉での賦活の増加が認められ、疾患群における自律神経症状との対応が考えられた。
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