2008 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の認知機能障害とコンプレキシンの変化-末梢血での検討
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19591359
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 邦夫 Kochi University, 教育研究部医療学系, 教授 (70346708)
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Keywords | 統合失調症 / complexin / 認知機能 / ドーバミン / ドーバミン受容体 / 抹消血 / リンパ球 / RT-PCR |
Research Abstract |
統合失調症患者の末梢血におけるコンプレキシン(cplx)、ドーパミン3レセプター(D3R)、ドーパミン4レセプター(D4R)発現量の変化の有無を確認するために、同意を得た患者11名(44±12歳、男性8名)と対照健常者12名(56±12歳、男性3名)から血液を採取し顆粒球、リンパ球に分けて、cplx1とcplx2、D3RとD4Rの発現量をRT-PCR法を用いて定量した。 予測されたように、対照として用いたヒト海馬における発現と比べて、リンパ球、顆粒球におけるcplx,D3R,D4Rの発現量は非常に少なく、末梢血でのこれらの分子の発現量は中枢神経系よりかなり小さいことが確認された。 年齢や抗精神病薬の影響を除外するために、年齢、抗精神病薬量とcplx、D3R,D4Rの発現量との相関を調べたが、相関は認められなかった。cplx1は、顆粒球、リンパ球上では共に発現が小さく安定した定量ができなかったが、リンハ.球におけるcplx2は、定量が可能で、統合失調症患者において減少が確認された(p=0.023)。D3R,D4Rの発現量の変化を見ると、統合失調症とコントロールでは顆粒球とリンパ球共に変化が確認されなかった。しかし統合失調症患者の認知機能検査であるBACSにおける作業記憶スコアとリンパ球のD4Rが正の相関を示した(Pearsonの相関係数=0.824,P=0.006)。 これらのデータを総合すると、cplxは末梢血での発現量は少ないにもかかわらず、死後脳研究と同様に末梢血でも変化があることが確認された,同様にD4Rは、以前の報告されているように作業記憶と関与しており、末梢血での変化は認知機能障害を反映する可能性がある。
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Research Products
(2 results)