2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的および生物学的指標を用いたうつ病性障害の治療アルゴリズムの策定
Project/Area Number |
19591366
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
近藤 毅 University of the Ryukyus, 医学部, 教授 (40215455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 一雄 琉球大学, 医学部, 准教授 (30302029)
中村 明文 琉球大学, 医学部, 助教 (40381222)
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Keywords | ドーパミン受容体 / TaqI A遺伝子多型 / -141 Del / Ins遺伝子多型 / 抗精神病薬 / 治療反応性 / セロトニン / ノルアドレナリン / うつ病 |
Research Abstract |
平成19年度は、琉球大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の承認を受け、未治療うつ病患者を対象としたサンプル収集を開始する一方で、うつ病群における気質性格評価の指標であるTemperament and Character Inventory(TCI)の比較検討を行う対象として、正常対照群約500名のデータを登録した。また、準備段階として、dopamine、serotonin、noradrenalineの複数の中枢神経受容体遺伝子変異をPCR-RFFPにて同定法を確立中である。関連研究として、dopamine受容体遺伝子多型とdopamine antagonistにおける抗精神病効果および錐体外路性副作用との関連を検討した。その結果、TaqI Aおよび-141C Ins/Delなどのdopamine D2受容体遺伝子多型の組み合わせにより、治療用量における薬物反応は陽性的中率78.3%、陰性的中率85.7%をもって高い精度で予測可能であった。また、反応良好マーカーであるA1遺伝子(+)/Del遺伝子(-)の組み合わせで偽陽性であった群においても錐体外路症状スコアが有意に高値であったことから、これらの遺伝子多型の組み合わせが、総じてdopamine antagonistへの感受性の高さを予測する因子であることが判明した(Sakumoto, et. al., Psychiatry Clin Neurosci 61, 174-180, 2007)。この結果からも、中枢神経受容体遺伝子多型が少なくとも抗精神病薬の治療効果や副作用の予測に有用な指標となることが示唆され、しかも、複数の遺伝子多型の組み合わせがこれらの予測精度を高める可能性が考えられるため、同手法を用いたうつ病性障害の治療反応性の予測についてもその臨床応用可能性が期待される。
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