2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的および生物学的指標を用いたうつ病性障害の治療アルゴリズムの策定
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19591366
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
近藤 毅 University of the Ryukyus, 医学部, 教授 (40215455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 一雄 琉球大学, 医学部, 准教授 (30302029)
中村 明文 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (40381222)
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Keywords | paroxetine / mianserin / MADRS / SASS / TCI / 治療脱落例 / 治療反応性 / うつ病 |
Research Abstract |
平成20年度は、14例の未治療うつ病患者の臨床データが得られ、そのうち、4週間の抗うつ薬治療を完結した群は8例(57.1%)であった。治療完結群は脱落群と比較して、治療前のMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)得点に差はなかったが、気質性格因子の指標であるTemperament and Character Inventory(TCI)の新奇性追及が低く(40.1±8.5vs.50.3±17.0)、自己志向が高かった(57.5±17.6vs.34.7±23.3)。また、治療脱落率はparoxetine(PAX:12例)が50%でmianserin(MIA:5例)の20%よりも高率であり、4週後のMADRS改善率もPAX群(39.9%±32.1%)がMIA群(72.6±24.4%)よりも低かった。一方、治療後のTCI上の変化をみると、PAX群では損害回避(-3.7)および持続(-6.5)の得点減少を認め、MIA群では新奇性追求の減少(-4.3)と協調性の増加(+5.3)を特徴とした。Social-Adaptation Self-evaluation Scale(SASS)の改善はMIA群がPAX群よりも高かった(5.5±8.2vs.1.2±5.5)。全ての抗うつ薬治療への治療反応群(6例)と非反応群(4例)との間で治療前および治療後のTCIプロフィールに差はなかった。以上より、病前気質・性格で新奇性追及が高く、自己志向が低い例は治療から脱落しやすい傾向にあると考えられる。治療反応率はPAXよりもMIAで高く、MIAの方がより広い治療スペクトラムを有することが推定される。一方、両剤が治療後の気質性格因子や社会生活機能に与える影響は異なり、PAXは抗不安・強迫作用、MIAは静穏作用と社会機能改善効果から影響を及ぼす可能性が示唆される。
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Research Products
(5 results)