2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19591371
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岩波 明 Showa University, 医学部, 准教授 (80276518)
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Keywords | 幻聴 / 事象関連電位 / 思考障害 / 随伴発射 / 統合失調症 |
Research Abstract |
これまでわれわれは事象関連電位を記録し、発声の及ぼす影響について健常者を対象に検討してきた。その結果、先行研究と同様に発声条件において聴覚事象関連電位N1振幅の減少を認めたが、ミスマッチ陰性電位の振幅には変化はみられなかった,発生条件におけるN1振幅の減少は、発声により生じた随伴発射(corollary discharge)がN1の発生源へ影響を及ぼし,刺激の受容過程へ影響を与えたものと考えられる。今回の研究においては、これまでの研究の成果を基盤とし、随伴発射の事象関連電位に与える影響について詳細な検討を行った。N1成分は、聴覚刺激に対して潜時約100ミリ秒でFz、Cz優位にみられる陰性成分で、皮質における刺激の受容によって出現する。N1は複数のサブコンポーネントを持ち、音刺激の強度などの物理的特性によって変化する外因性の成分と、被験者の注意などによって変化する内因性の成分から構成される。本研究においては、健常者を対象として、課題条件を工夫し、発声条件におけるN1成分の変化を検討した。刺激は500個の聴覚刺激で、90%が1KHzの純音、10%が2KHzの純音とした。音圧は75dBSPLとし、刺激の持続50msで一定とした。課題は、No Task条件、文章、あるいは母音を発声するTalk条件、録音された文章、あるいは母音を聴取する条件の5条件を施行した。その結果、課題間において、N1潜時に変化はみられなかった。高頻度刺激に対するN1振幅は、発声条件(母音)、聴取条件(文章、母音)において低下したが、低頻度刺激に対するN1振幅低下は、聴取条件(文章)においてのみ認められた。以上の結果は発声条件におけるcorollary dischargeの影響を示唆するが、患者群に施行するにはより安定した測定条件の検討が必要と考えられた。
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Research Products
(2 results)