2007 Fiscal Year Annual Research Report
衝動行為を見せる遺伝子改変マウスの薬物療法に関する研究
Project/Area Number |
19591372
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
鈴木 映二 International University of Health and Welfare, 大学病院, 教授 (60226496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮岡 等 北里大学, 医学部, 教授 (40209862)
高橋 正身 北里大学, 医学部, 教授 (10318826)
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Keywords | SNAP / マウス / 視床下部 / ドパミン / セロトニン / 脳マイクロダイアライシス / 拘束ストレス |
Research Abstract |
SNAP-25はシナプス前神経末端からの神経伝達物質の放出に、不可欠の蛋白質である。研究分担者の高橋らにより神経伝達物質放出の際にSNAP-25のSer187がプロテインキナーゼC(PKC)の活性化によって特異的にリン酸化されること、PKCによるリン酸化依存的に細胞膜への分泌小胞の移行が促進されることなどが明らかにされた。また、高橋らはSNAP-25のリン酸化部位であるSer187をAlaに置換したノックインマウスを作成した。このマウスは高所から飛び降りるなどの衝動行動や外傷性白内障をきたすまで自分の目を引っ掻いてしまうなどの自傷行為を示した。 今回の研究では、この自傷行為モデル動物とも言えるSNAP-25遺伝子改変マウスを用いて、情動攻撃に関して中心的役割を果たしている脳部位である視床下部で、攻撃性の神経伝達物質であるドパミンとセロトニン放出量がストレスによって、どのように変化するかを調査した。ストレスとして用いたのは拘束ストレスである。脳マイクロダイアライシス法を用いて採取した還流液中のドパミンの量は、遺伝子改変マウス(ホモマウス)において野性型に比べて有意にストレス負荷後のドパミン放出量の増加が少なかった。一方、セロトニンに関しては、現時点では実験ごとのばらつきが大きいため最終的な結論に達していない。しかし、ドパミンほど顕著な差がないのは確かなようである。この実験に先立って、ストレスをかけない状態におけるドパミンとセロトニンの放出量を調査したが、両者ともホモマウスでは野性型に比ベて有意に濃度が低かった。さらに、高カリウムによる放出刺激実験を行ったところ、短時間(20分間)の高カリウム刺激に関してはホモマウスも野性型と有意差がない放出を示したが、長時間(高カリウムを無制限に暴露)の刺激ではホモマウスは野性型に比べて有意にドパミンとセロトニンの放出量が少ないことがわかった。
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Research Products
(8 results)